鹿島は10月26日、建設機械の自動運転を核とした建設生産システム「A4CSEL®」(クワッドアクセル)を導入する複数現場の建設機械を一括管制し、自動化施工を同時に実施できる「遠隔集中管制システム」を開発したと発表した。
今回、システムを活用した技術実証として、成瀬ダム堤体打設工事(第1期)(秋田県)、赤谷3号砂防堰堤工事(奈良県)、西湘実験フィールド(神奈川県)の3箇所で稼働している建設機械を、鹿島本社ビル(東京都)に設けた集中管制室から一括管制し、自動運転と遠隔操作による作業を同時に行うことに成功した。
A4CSELの現場適用には、これまで、現場の近傍に専用の管制室を設ける必要があった。これに対し、2021年3月には、JAXAとの共同研究の一環として、JAXA相模原キャンパスの宇宙探査実験棟から約1,000km離れた種子島の建設機械を遠隔で操作し、さらには同キャンパスからの指令で自動運転に切り替えて作業できることを確認。鹿島は、生産性および安全性を飛躍的に向上する究極の建設生産システムとして、これらの技術を組合せ、A4CSELが稼働するあらゆる工事の管制機能の一元化を検討してきた。
今回の実証実験では、集中管制室と複数の現場を公衆回線(NTTドコモの法人向け閉域接続サービス「アクセスプレミアム」他)で結び、各所にて自動運転および遠隔操作による作業を実施した。集中管制室には、施工管制システムをはじめとする自動化施工システムを搭載したコンピュータと各所の状況を確認できるモニターを設置し、自動化施工を管制するとともに、建設機械の遠隔操作も集中管制室の管制員が行った。
鹿島は、今回得られた「遠隔集中管制システム」の成果を活用し、A4CSELによる自動化施工の更なる省人化および生産性の向上を目指すとともに、国内外の造成工事をはじめとする他工種への展開を推進する。今後もA4CSELを進化・発展させ、建設生産システムの変革に継続的に挑戦していくとしている。