村田製作所は10月12日、生産子会社の金津村田製作所(福井県あわら市)の使用電力を100%再生可能エネルギー化するため、北陸最大規模の蓄電池システムを11月1日に導入したと発表した。
近年、温暖化による海面や気温の上昇、異常気象の発生等で、日本国内では夏季・冬季の電力需給が見通しにくい状況が多発し、供給の逼迫が問題に。これら気候変動等の解決のため、企業には、再生エネルギーの利用促進やそのマネジメントの効率化といった、持続可能な社会実現に向けての取組みが求められている。
村田製作所グループでは、グローバルな社会課題解決に貢献するため、「気候変動対策の強化」をマテリアリティ(重要課題)として設定し、再生可能エネルギーの導入を促進。グループ全体の温室効果ガス削減の総量目標を実現する事業運営を行い、各事業所で省エネルギー化・再生可能エネルギーの利用を促進する投資を積極的に行っている。
その一環として今回、金津村田製作所に於いて、蓄電池システムを活用し、使用電力の100%再生可能エネルギー化を実現。これにより、電力供給網の負担を軽減すると同時に、CO2排出量の削減に貢献するとしている。
システム導入による効果
今回、金津村田製作所に導入された蓄電池システムは、大規模ソーラーパネルと蓄電池ユニットに、独自のエネルギーマネジメントシステムを組み合わせたのもので、生産計画や電力消費、気象情報、発電予測といった情報を統合管理し、リアルタイムでエネルギー使用の最適化を行うことが可能。
発電が可能な日中には、生産量の増減や天候の変化をモニタリングしながら自家発電の利用と蓄電池の充放電を効率的に行い、系統電力の供給負荷を安定的に低減。また、夜間は日中の電力需要に備えた蓄電池への充電を行い、系統電力の供給負荷の安定化に寄与する。なお、システムによるCO2削減効果は、年間で約368tになる見込みとのこと。
金津村田製作所への蓄電池システムの導入にあたり、村田製作所代表取締役社長の中島規巨氏は、以下のように述べている。
「今日、社会課題の克服に向けた企業の社会的責任はより大きなものとなっており、製造業として製品が作られる過程での環境負荷低減に最大限取り組んでいかなければいけません。本システムには村田製作所の二次電池が持つ強みを活かした蓄電ユニットを活用しており、長期間にわたって安定的な稼働が期待できます。金津村田製作所を100%再生エネルギー利用工場のモデルとして、グループ各社へ本システムをはじめとする再生エネルギー利用拡大に向けた積極的な施策を展開し、持続可能な社会の実現に向けて貢献していきます」。
村田製作所グループは、RE100(※)の実現に向け、グループ全体の事業活動における使用電力の再生可能エネルギー化を促進し、気候変動対策に向けた取り組みを進めていくとしている。
※RE100:国際NGO「The Climate Group」がCDP(ESG投資のための、企業の環境情報開示を進める英国本部の国際NGO)とのパートナーシップの下で運営する、世界で影響力のある企業が再生可能エネルギー100%を目指す国際イニシアティブ。RE100の総収入は6兆6,000億米ドルを超え、さまざまな分野での活動を通じてクリーンな経済への移行を加速させるための強力なシグナルを政策立案者や投資家などに発信している。
[蓄電池システムの概要]
– 施設名称:金津村田製作所クリーンエネパーク
– 所在地:福井県あわら市花乃杜2丁目10番28号
– 再生可能エネルギーの利用100%達成日:11月1日
– 発電電力の利用形態:自社利用
– 太陽光発電システム容量:638kW
– 蓄電池容量:913kWh
– エネルギーマネジメントシステムのモニタリング項目:生産計画、電力消費量、気象情報、発電予測
– 年間発電電力量:74万kWh
– 年間CO2削減効果:368トン
[金津村田製作所について]
– 会社名:株式会社金津村田製作所
– 所在地:福井県あわら市花乃杜2丁目10番28号
– 創業:1977年6月
– 資本金:2億2千万円
– 代表者:代表取締役社長 中山能勝
– 工場長:取締役工場長 飯山修治
– 事業内容:高周波デバイス、モジュール製品、抵抗器およびESS製品の製造
– 従業員数:306人(2021年9月1日時点)
– HP:https://corporate.murata.com/ja-jp/group/kanazumurata
■(村田製作所)環境とムラタ:https://corporate.murata.com/ja-jp/csr/environment_murata/climate_change
■(経済産業省)CDP概要と非化石価値証書の再エネ属性証書としての妥当性と提言(PDF):https://www.meti.go.jp/shingikai/enecho/denryoku_gas/denryoku_gas/seido_kento/pdf/019_04_00.pdf