加賀電子と富士通セミコンダクター(FSL)は、9月10日、富士通エレクトロニクス(FEI)の株式70%を加賀電子が取得することに合意し、最終契約を締結したと発表した。
なお、FSL保有の30%株式については、2021年内を目途に、今後段階的に加賀電子に譲渡。第一段階となる70%株式の譲渡は、関連当局の承認、及びその他クロージング条件の成立を前提として、2019年1月を予定していると云う。
加賀電子は「中期経営計画2018」(2015年11月4日公表)を策定し、「利益重視経営の確立」を最重要課題と位置付け、既存の大手顧客への電子デバイスの拡販、及び海外市場を中心としたEMSビジネス(電装基板の製造受託サービス)の拡大に取り組んでおり、今回のFEI株式取得は、この中期経営計画で描く成長戦略の一環として実施するものだとしている。
FEIも、既存ビジネスを深耕すると共に、商材の拡充、世界規模でのビジネス拡大を図ってきたが、同件を通じ、これまでの成長戦略を更に加速させるとしている。
両社は、同件による施策効果について、以下の3つを挙げている。
■1.電子部品・半導体ビジネスのシェア拡大
加賀電子及びFEIにおいて取扱い商材や、国内外の販売チャネルを相互に補完することにより、お客様ニーズ対応力を強化し、電子部品・半導体ビジネスにおけるシェア拡大を目指す。
■2.EMSビジネスの事業規模拡大
加賀電子がグローバルに展開するEMS拠点網の上に、FEIの強みである広範な顧客基盤を共有することで、加賀電子が得意とする高付加価値型のEMSビジネスの非連続な成長を実現する。
■3.両社事業協業に伴う経営効率の更なる向上
加賀電子及びFEIが持つ販売関連組織・各種機能の最適化や相互活用の最大化に取り組むことにより、両社の収益性向上を図る。
なお、FEIは、株式譲渡後も「富士通エレクトロニクス株式会社」の商号を当面継続し、現在の商材を継続して取り扱っていくとしている。
[加賀電子・代表取締役社長の門良一氏のコメント]
加賀電子は、創業以来「すべてはお客様のために」の経営理念のもと、お客様の様々なニーズにお応えしていくことにより、事業領域を拡大してまいりました。
独立系のエレクトロニクス総合商社としての強みを活かした電子部品・半導体販売にはじまり、多品種・小ロットを得意とするEMSビジネス、更には、お客様製品の企画・開発や設計支援、ソフトウェア・映像制作、ネットワークソリューションを中心としたシステムサポート等、国内外を問わず多様なサービスを提供しております。
今回FEIを迎え入れることにより、加賀電子は売上高5,000億円級の企業グループを形成することとなり、中期経営計画で目指す「我が国業界No.1企業」としての経営基盤を固めるとともに、これを足場にして売上高兆円級の海外競合企業とも伍して戦える「世界に通用する企業」として更に成長すべく、引き続きグループ経営の規模及び質の向上に取り組んでまいります。
[富士通セミコンダクター・代表取締役社長の曲渕景昌氏のコメント]
FEIは長年培ってきた電子デバイスの提案力、お客様・パートナー様との信頼関係を軸に、自社内で開発・設計・量産が可能な技術部隊、世界各国のビジネスパートナーとの連携を通じ、お客様が求める幅広いニーズに対応し、トータルソリューションを提供しております。
従前のFEIの強みに加え、加賀電子グループに加わることによるシナジーも生かし、FEIは既存、新規のお客様・パートナー様に対し、今後更なる高品質の価値を提供してまいります。
また、FEIは富士通グループの様々な製品・サービスも販売しており、今後も富士通グループはFEIとの連携を継続していきます。
顧客基盤・商品ラインナップが更に拡充することで、今回の事業の統合が富士通グループとの既存ビジネスに加え、IoT、車載、AI等の成長市場に向けた新たなビジネス機会の創出につながることを期待しております。
加賀電子グループの一員として、今後FEIが更なる大きな成長を図れることを確信しております。