HUD(ヘッドアップディスプレイ)のイメージ
JVCケンウッドは4月9日、先進運転支援システム(ADAS:Advanced Driver-Assistance Systems)として普及の進むヘッドアップディスプレイ(以下「HUD」)において、従来の特殊ガラスを使うことなくフロントガラスの表裏で生じる二重像を軽減する技術を開発したと発表した。
HUDは、速度やナビゲーション他、ドライバーに必要な各種情報をフロントガラスに映し出すことで、計器類に視線を移動することなく確認できる表示装置で、今後の自動運転や仮想現実(AR:Augmented Reality)といった先進技術と融合することにより、ADASとしてさらなる発展が期待されている。
一方で、フロントガラスの構造上生じる低視認性が課題となっていた。これを防ぐためには、表裏面にわずかな角度をつけたくさび型特殊ガラスを用いる必要があるが、車両の組み立てラインでの実装が不可欠なだけでなく、フロントガラスのコストアップの要因となる。
今回、JVCケンウッドが新たに開発した技術は、ガラス表面反射と裏面反射の光路を最適にする設計を施すことにより、フロントガラスに用いられている平行ガラスの表裏反射光の光軸を一致させる条件と、HUDとして必要な表示画像の位置、距離、画角等の条件をほぼ両立させ、人間の視覚特性上も違和感の少ないHUD表示を実現した。
また、従来の凹面鏡に新たな光学部品を追加する手法と違い、この技術では従来のHUDと同等の光学部品構成で二重像の軽減を可能としている。これにより、高価なくさび型特殊ガラスが不要となり、HUDトータルシステムとしてコストダウンを実現することから、普及価格帯車両への適用も想定されるだけでなく、従来のフロントガラスが使用できるため、車両組み立てライン以外での装着も期待される。
新技術による二重像解消のイメージ
同社は今後もこの技術の開発をさらに進めることで、アフターマーケット市場および自動車メーカー、車載機器メーカーに対して本技術の提供を図るだけでなく、エンタテインメントやサイネージでの活用など車載用途以外での展開を目指すとしている。
二重像のイメージ