ジェイテクトは10月18日、今後のBEV(電気自動車)の市場拡大を見据え、eAxle(イーアクスル)に搭載される軸受を幅狭化した、超幅狭軸受「JTEKT Ultra Compact Bearing(以下、JUCB)」を新開発したと発表した。年間売上目標は約70億円。
自動車の電動化が進む中、インバータ、モーター、デフを含む減速機を一体化させた電動駆動システム「eAxle」の開発・採用が急激に拡大。電費向上や航続距離延長など、より良いバッテリー式電気自動車(BEV)実現のため、その駆動源の心臓部であるeAxleの小型化が求められていると云う。
ジェイテクトでは、2016年に主にHEV(ハイブリット車)やBEVのモーターに使用される高剛性組合せ樹脂保持器を開発しているが、今回これをベースにJUCBを開発。JUCBは、保持器側面中心に穴を設け、保持器の幅を極限まで狭くすることで軸受を幅狭化しつつも、独自の金型設計・成形手法の確立により、保持器の強度が確保されていると云う。
<開発品の特長>
・軸受性能(強度、耐久性)はそのままにユニット長短縮化が可能
従来品と同等の軸受性能(強度、耐久性)を確保したまま、軸受幅を極限まで幅狭化。汎用サイズ(6207)への適用では、軸方向寸法を5mm(約30%)短縮し、重量73g(約26%)を低減。同軸タイプや3軸タイプeAxleに搭載することで、ユニット長を短縮することができる。
同軸タイプ(左)/3軸タイプ(右)eAxleの断面図と、JUCBによるユニット長短縮化。
グループのシナジーでeAxleの小型化・軽量化に貢献
ジェイテクトでは今後、「JUCB」のみならず、発表済みの「JTEKT Ultra Compact Diff.(JUCD)」や現在開発中の「eAxle向け超幅短オイルシール」など、グループが有する技術とのシナジーで生み出した電動化貢献技術を、顧客に提案していく。
ジェイテクトグループが有する電動化貢献技術で同軸タイプeAxleの小型化・軽量化に貢献。
BEVの電動駆動システムで特に需要拡大が予測される出力150Kwの同軸タイプeAxleに、上述の3製品を適用した場合に、ユニット長約50mmの短縮、重量約5kgの低減が算出されており、システムの幅寸法短縮をはじめ、前後寸法や高さ寸法の短縮、それらに伴う小型化・軽量化への貢献が期待できることから、バッテリー搭載量拡大による航続距離向上や搭載位置の自由度拡大、車室や荷室空間の確保、車両シルエットの自由度拡大、電費向上など、グループを挙げて、その発展に寄与。
JUCBを、eAxleに留まらず、建設機械や農業機械、ロボット、ドローンなどの産業機械に適用することで、国内外のあらゆる駆動システムの小型化ニーズに応えていきたいとしている。