オイルエア潤滑に置き換わるグリース潤滑でカーボンニュートラルに貢献
ジェイテクトは10月23日、グリース潤滑での高速回転に対応した工作機械主軸用軸受「ハイアビリーJFAST」を開発した。開発品は、2024年11月5日~10日に東京ビッグサイトで開催される「JIMTOF2024(第32回日本国際工作機械見本市)」 に初出展される。
今回の「ハイアビリーJFAST」の開発背景は、同社がJTEKT Group 2030 Visionを掲げて、「モノづくりとモノづくり設備でモビリティ社会の未来を創るソリューションプロバイダー」になることを目指していることがある。より具体的には製品と製造設備に関する要素技術を集約したテクノロジープラットフォームを活用。これらのコンピタンスを掛け合わせて社内や社会の困りごとの解決策を提案するソリューション共創センターの開設を進めている。
そうしたなかでハイアビリーJFASTは、2年前に開催されたJIMTOF2022での顧客の声を反映して開発された。工作機械主軸用軸受は高速回転が求められるため、通常はオイルエア潤滑が採用されるが、機械稼働中は常にエアを使用するため消費電力が大きくなるという課題があった。
この課題に対し、ジェイテクトのコンピタンスを生かした保持器設計技術により、グリース潤滑で対応できる高速回転領域を拡大し、省エネのみならず、CO2排出量削減を実現するソリューションとして開発されたと同社では謳っている。
ハイアビリーJFASTの特長は以下の通り
ハイアビリーJFASTは、グリース潤滑用に最適設計したPEEK樹脂製の保持器を採用した高速性と低昇温性に優れた工作機械主軸用軸受。
ハイアビリーJFASTシリーズの特徴
ハイアビリーJFASTシリーズの主軸搭載位置(イメージ)
アンギュラ玉軸受では、世界初のグリース潤滑でdmn値※180万を達成(自社調べ)。軸受の昇温は従来品比約30%低減し、グリース寿命は約20%向上させた。
円筒ころ軸受では、グリース潤滑でdmn値<ベアリングの回転性能を表す値。ピッチ円直径(mm)×回転速度(min-1)>150万を達成。軸受の昇温は従来品比約40%低減し、グリース寿命は約20%向上した。
この上記の2つの軸受を採用することで、#40サイズで20,000min-1の回転が可能な主軸を提案する。これにより、主軸の潤滑方式をオイルエア潤滑からグリース潤滑へ置き換えることができ、主軸エア消費量をオイルエア潤滑に比べて約60%削減する。