ジェイテクトが、既存事業のコア技術を活かして、蓄電デバイスの1種である高耐熱・低温性両立のリチウムイオンキャパシタを開発。量産化については、2019年をめどに進めている。
キャパシタは、物理的に電力を充放電する蓄電池で、蓄電容量が限られている代わりに、一度に高いエネルギーを放出する瞬発力が特徴だが、リチウムイオン二次電池同様に、耐熱性に課題があった。
車両に搭載するために要求される環境温度は、エンジンルーム内であれば-40℃から125℃、車室内であれば-40℃から85℃となる。 この条件に対し、ジェイテクト製・リチウムイオンキャパシタでは独自技術を用い、-40℃から85℃、従来製品では届かなかった車室内での使用要求への適合が可能となった。 さらに、出力する上限電圧を制限することで、105℃まで高温環境で使用可能となると云う。
取り巻く環境の変化と新規事業推進の狙い
少子高齢化・環境・エネルギー問題といった将来の社会課題、自動運転・人工知能・3Dプリンタなどのイノベーション、リーンスタートアップ・オープンイノベーションといった技術開発競争の激化など、ジェイテクトでは、業界を取り巻く環境の大な変化を感じていると云う。
同社は、この社会動向・環境変化を睨んで、持続的成長の柱となる新領域の事業の立上げを推進。新規事業の技術は既存事業の技術を活かし、その新技術を既存事業にも活用するといった相乗効果を生み出していき、「No.1&Only One」の技術で社会に貢献していきたいという考えだ。
具体的には、2017年9月にBR蓄電デバイス事業室を組織し、持続的成長の柱となる新領域の1つとして、蓄電デバイスの1種である「リチウムイオンキャパシタ」の開発を進めてきた。この量産開始を2019年には始めたいとしている。
リチウムイオンキャパシタ開発の狙い
燃費規制の拡大、高度運転支援・自動運転の普及・拡大を受け、省エネ・自動運転化に大きく貢献する電動パワーステアリング(EPS)の適用範囲の拡大が求められている。しかし、大型車両へのEPS搭載には12Vの車両電源では出力が不足している。キャパシタと充放電コントローラーによって、これら出力が不足している従前のEPSに電圧を付加、つまり、車両電源の12Vに対しキャパシタからの6Vの電圧を加えることで、18Vの高出力化を実現し、EPSの適用範囲の拡大が可能になる。
今後の展開
「No.1&Only One」の技術として開発をすすめ、2019年の量産を目指し推進。
・既存事業の製品に搭載しての拡販を進めると共に、製品単独での販売を計画。
・キャパシタ単体販売、バランス回路を組み合わせたモジュール販売、充放電コントローラーも組み合わせたシステム販売も行う予定。
・自動車業界のみならず、工作機械、建設機械、鉄道、発電装置、交通インフラなど様々な領域での拡販をすすめる。その用途も補助電源、予備電源、発電装置の機能安定化、電源回生、さらにはメイン電源とユーザーのニーズに沿った様々な形で貢献することを目指す。