ジェイテクトは7月19日、水素燃料電池車(以下「FCV」)の水素循環ポンプなどに使用する、従来比10倍の高耐久・高耐食軸受を開発したと発表した。
水素雰囲気という特殊な環境においては、水素脆化による早期破損が課題となっていたが、この開発品により、軸受の長寿命化が可能となり、ユニットの小型軽量化や、低フリクション化が可能となった。
近年深刻化する地球温暖化の対策として、また持続可能な社会の実現のため、「2050年脱炭素化社会の実現」を目指す方針が日本政府から発表されるなど、CO2の排出規制は国内外で拍車がかかっている。
そんな中、カーボンニュートラル実現に向けた取り組みとして、水素と酸素で発電し動力を発生させるFCVは、CO2を排出しない環境にやさしいクルマとして注目が集まっている。
FCVでは水素を有効活用するために、燃料電池内で未反応の水素を再利用するための水素循環ポンプが使用されることがある。その水素循環ポンプ用軸受は、水素及び水蒸気中で使用されるため、水素脆化しにくく、水蒸気中でも腐食しにくい軸受の開発が必要であった。
そこでジェイテクトは、新たな素材の適応と熱処理により、従来製品の10倍以上となる耐久性と耐食性を持つ軸受を開発した。
開発品をFCVの水素循環ポンプに使用することで、FCVの安全性と信頼性の向上に貢献する。また、水素環境下において、従来の転がり軸受では水素脆化による早期破損の懸念から使用できなかった用途での使用が可能となったとしている。
【販売目標】
量産開始:2025年(予定)
販売目標:1.3億円/年
販売先:国内外自動車部品メーカー
【製造工場】
四国工場,亀山工場,ダイベア株式会社(グループ会社)