ジェイテクトは、産業技術総合研究所(産総研)と共同で、産総研つくばセンター内に「ジェイテクト-産総研 スマートファクトリー連携研究ラボ」を、6月に設立する。
この連携研究ラボは、加速的・集中的に研究開発を実現するために、2016年4月に制定された産総研連携研究ラボ(※1)制度を活用したもので、工作機械メーカーとして初の連携研究ラボとなる。
研究テーマは、加工機・生産ラインのスマート化(知能化、自律化)およびその要素技術の研究開発。
研究では、サイバー・フィジカル・システム(CPS/※2)を用いた加工機の自律化技術や、生産ラインの自律的最適化を可能とするサイバー・フィジカル・プロダクション・システム(CPPS/※3)の研究開発、さらに関連要素技術を融合して、次世代スマートファクトリーの実現を目指す。
[設立の背景]
近年、工場を取り巻く環境は、地球環境への配慮、少子高齢化に伴う労働人口の減少などが懸念されている。
このような課題に対し、IoE(Internet of Everything/※4)やAIなどの革新技術を利用した工場機器の知能化・自律化や、ビッグデータを活用した効率的なスマートファクトリー実現のための研究・開発が行われている。
そのような中、今回、ステアリング・工作機械・軸受・駆動部品の製造会社として多くの工場をグローバルに展開するジェイテクトと、製造産業に関する技術を長く培ってきた産総研が連携し、先進的な生産ライン・加工システムおよび関連要素技術の研究開発による「止まらない工場」や、要素技術開発も含めた「次世代スマートファクトリー」の実現を目指す。
両者は、ジェイテクト保有の生産技術やIoE技術の提供実績に基づく豊富なデータ、ノウハウに、産総研の高度なセンシング/データ・アナリティクス、モデルベース設計に関わる製造研究技術を融合し、知能化・自律化や高度なシステムインテグレーションの技術開発を加速、先進的なスマートファクトリー・ソリューションの早期実現を図るとしている。
[連携研究ラボの概要]
連携研究ラボでは、スマートファクトリーにつながる工作機械の研究開発、それらの周辺技術開発および実用化に取り組んでいく。
また今後、産総研とジェイテクトは、「加工機・生産ラインのスマート化(知能化、自律化)およびその要素技術の研究開発」を実施し、3~5年後の実用化を目指している。
①CPSによる加工状態の見える化と加工条件の自律最適化を実現する工作機械の開発。
②CPSを備えた各工程をつなぎ、問題の可視化、分析、フィードバックを繰り返すことで不良と異常を削減するCPPSの構築。
– 名称:ジェイテクト-産総研 スマートファクトリー連携研究ラボ
– 場所:産総研 つくばセンター東事業所(茨城県つくば市)
– 研究体制:連携研究ラボ長 岩井英樹(ジェイテクト 研究開発本部 加工技術研究部)
※1)連携研究ラボ:産総研では、企業のニーズに特化した研究開発を実施するため、その企業を「パートナー企業」と呼び、パートナー企業名を冠した連携研究ラボ(通称、冠ラボ)を産総研内に設置。パートナー企業は研究者・研究資金などを、産総研は研究者・研究設備・知的財産などの研究資源を提供し、パートナー企業からの出向研究者と産総研からの研究者が共同で研究開発に取り組んでいる。
※2)サイバー・フィジカル・システム(CPS):もののインターネット化(IoT)により、実空間(フィジカル空間)上にあるものの情報が、コンピューター上(サイバー空間)に蓄積できるようになる。蓄積された情報をサイバー空間上で処理し、その結果をフィジカル空間上の問題解決や価値創出に利用しようとする概念およびその実装。
※3)サイバー・フィジカル・プロダクション・システム(CPPS):CPSによる問題解決や価値創出を、工場での製造工程に適用する仕組み。
※4)IoE (Internet of Everything):IoTを進化させた発想が IoE で、世の中のあらゆるものすべてをインターネットに接続するという概念。「人」「もの」「データ」「プロセス」の4本柱から成り立っている。