ジェイテクト発明の「電子制御4WDカップリングの摩擦制御技術」が、平成29年度近畿地方発明表彰の「日本弁理士会会長賞および実施功績賞」を受賞した。
電子制御4WDカップリングは、4WD乗用車で、電磁クラッチで必要に応じて適切な前後輪のトルク配分を行う駆動装置。通常の前輪駆動走行時には、カップリング内のクラッチの押し付けを行わず、雪道や低μ路面などで前輪がスリップする場合に、クラッチを押し付け、適切なトルクを後輪へ伝達することを可能とする。
電子制御4WDカップリングのクラッチは、潤滑油下で摺動するため、特に潤滑油の粘度が増加する低温域で、クラッチを係合しない状況(2WD走行時)において、引きずりトルクが増加するという課題があった。また一方、クラッチを係合する場合(4WD走行時)においても、同様に低温域で伝達トルクが増大。この温度環境によるトルク変化を改善することで、4WD性能を高いレベルで維持したまま、4WD乗用車の低燃費化の実現が期待できるようになる。
この発明の電子制御4WDカップリングの摩擦制御技術では、電磁クラッチの表面形状に着目し、電磁クラッチのインナープレート表面にクラウニングを付与、アウタープレートでは、微細溝ピッチを拡大した。また、これらと合わせてクラッチ間に発生する潤滑油の動圧に関しても、適値を見出した。
ジェイテクトによれば、これによりクラッチ隙間を最適に制御し、低温域でのトルク上昇抑制が可能となり、全温度域でのトルク精度を高め、走行安定性を向上しつつ、駆動部品の軽量化設計による燃費改善が可能となるとの事。
これら発明技術が、電子制御4WD自動車の低燃費化や環境負荷低減に期待できると認められ、今回の受賞となった。