ザイリンクスは11月18日(米国時間)、少アンテナ数無線機のエネルギー効率を高めるスケーラブルな適応型デジタルフロントエンド(DFE)ソリューションを、TI(テキサス・インスツルメンツ)社と共同開発することを発表した。
このソリューションはザイリンクスの適応型IPを利用し、RF性能と屋内および屋外無線アプリケーションの電力効率を向上させる。ザイリンクスのZynq UltraScale+ MPSoCファミリおよび適応型RF IPに、TI社のAFE7769クワッドチャネルRFトランシーバーを組み合わせることで、大規模通信事業者およびプライベートネットワークにとってのOPEXおよびCAPEXの課題への対応を強化できる。
次世代LTEおよび5Gスモールセルは、より広い帯域幅だけでなく、高速モバイルブロードバンド(eMBB)、大規模マシンタイプ通信(mMTC)、超高信頼低遅延通信(URLLC)などの新しいユースケースをサポートする必要性により、新たな無線機能への要求が高まっている。開発者にとっては、これらの新しいユースケースに対応する適応性とスケーラビリティを備えた無線プラットフォームを利用することが非常に重要となる。
ザイリンクスのWWG(ワイヤード/ワイヤレス グループ)エグゼクティブバイスプレジデント兼ジェネラルマネージャーであるリアム・マッデン(Liam Madden)氏は、次のように述べている。
「無線プラットフォームの成功は、RFパワーアンプ(PA)の効率と性能によって左右されます。低消費電力のスモールセルアプリケーションでも、標準的な次世代無線の50%以上の電力がPAで消費されるため、これがOPEXとCAPEX改善の鍵を握ります。現在から将来までのPA効率ニーズを満たすスケーラブルな適応型DEFソリューションが、5Gプラットフォームを前進させるための決め手となります」
ザイリンクスの適応型デジタルRFIPは、専用のクレストファクター低減(CFR)およびデジタルプリディストーション(DPD)機能を搭載した、さまざまな無線帯域幅とキャリア構成をサポートする唯一のソリューション。また、Zynq UltraScale+ MPSoCデバイスに実装された残りのPHYプロセッシングと緊密に統合されているため、単独のDPD実装では処理の難しい、複雑化するマルチRATおよび5G波形のシグナル ダイナミクスを処理できる。PAテクノロジもまた、GaNおよび新しいアーキテクチャの幅広い採用に起因する新しい無線要件に対応するため、急速な発展を遂げている。このような新しいテクノロジへの適応がPA効率を最大化する上で重要になる。
TI社のデータコンバーター担当バイスプレジデント兼ビジネスユニットマネージャーであるカールティック・ヴァサント(Karthik Vasanth)氏は以下のようなコメントを寄せた。
「5GNR(New Radio)システムの性能上の効果を得るためには、スペクトル効率に対するPAの直線性とRF の電力供給が非常に重要です。AFE7769のように帯域幅の広いトランシーバーは、PAの高次の非直線性への対応に役立ち、より効率的な電力供給を可能にします。この実装により、MIMO(Multiple Input Multiple Output) アプリケーションをサポートするための瞬時帯域幅およびアンテナ数の増加を求める市場ニーズに応えながら、システム コスト目標を達成できるスケーラビリティを提供できます」
ザイリンクスは、開発スピードを加速させ開発者によるソリューションの評価を可能にする、さまざまな開発プラットフォームおよびツールを提供している。200MHz(LTEおよび5GNR向け)までの帯域幅要件に対応するスモールセル4T4R 無線ソリューションのデモを見るには、下記リンクを参照されたい。このデモでは、ザイリンクスのZCU102 Zynq UltraScale+ MPSoC評価プラットフォーム、TI社のAFE7769評価モジュール(AFE7769EVM)とSkyworks社の28dBm SKY66318-21 PAを使用している。