JFEスチールは3月14日、自社が開発した980MPa級合金化溶融亜鉛めっき(GA)鋼板が、HEV向け車載リチウムイオンバッテリーモジュールの構成部品である、「モジュール拘束体フレーム」に超高張力鋼板として初めて採用されたことを明らかにした。
車両用のバッテリーは出力を高くするため、バッテリーセルを複数組み合わせ、鋼製のフレームで拘束されている。この際、使用中の発熱による膨張、性能低下を防止するために、フレームには高い拘束力が求められ、より強度の高い鋼板を適用するニーズがある。
【図】採用された部品
一方、バッテリーモジュールのサイズを小さくするためフレームの折り曲げ部分の湾曲をなるべく小さくし、直角に近い形状とすることが求められるが、高強度鋼板では曲げ成形時に割れやすくなることが課題となっていた。
そんな課題に対して、同社ではフレームに適した高加工性材料を提案し、J-MAX(旧商号・丸順)に於けるCAE(Computer Aided Engineeringの略。コンピュータシミュレーションを用いた設計支援)を活用したプレス成形技術開発ならびに製品仕様開発にて、HEV向け車載バッテリーモジュールの構成部品に980MPa級鋼板を適用することが可能となった。
今回採用された980MPa級GA鋼板は、当社の高成形性高強度鋼板シリーズ「JEFORMA®」の一種で、西日本製鉄所(福山地区)にある連続溶融亜鉛めっき設備の精密な温度制御により適した鋼板組織を造りこむことで、980MPa級の高い鋼板強度で優れた曲げ成形性を実現した。
JFEスチールでは、「当社は今後とも、本鋼板のさらなる適用拡大を図ると共に、お客様のニーズに合った様々な製品と利用技術を開発・提案し、自動車車体の軽量化によるCO2排出量削減と高性能化による安全で環境にやさしい自動車の開発に寄与していくことで、持続可能な社会の実現に貢献してまいります」と話している。