ジャガー・ランドローバーは、英国キャッスル・ブロムウィッチにある自動車製造工場で、電気自動車(EV)を製造すると、現地時間の7月5日に発表した。
発表は、2020年以降にジャガーおよびランドローバーの全てのモデルに電動モデルを設定する計画の一環となる。
ジャガー・ランドローバー最高経営責任者(CEO)のラルフ・スペッツ博士は、この発表に際して、以下のように話している。
「将来のモビリティは確実に電動化に向かっており、明確なビジョンを持つ英国企業として、当社は英国で次世代のゼロ・エミッション車両を生産していくことを約束します。
電気自動車の製造と、電気駆動システム(EDU:Electronic Drive Unit)、バッテリー・アッセンブリーを同じ場所に集約することで、ミッドランドを電動化の拠点とします」。
なお、キャッスル・ブロムウィッチで製造される最初の新型EVは、ジャガーのフラッグシップ・サルーン「XJ」。現在8世代目となるXJは50年に渡って英国で設計、エンジニアリング、製造が行われ、120か国以上に輸出されてきた。
新しいフルバッテリーEVの製造には、「ワールド・カー・オブ・ザ・イヤー2019」にも選出された電動SUVの「I-PACE」を手掛けたデザイン・チームおよび製品開発のスペシャリストたちが担当。英国で数千人規模の雇用を創出すると云う。
ジャガー・ランドローバーでは、今年1月に新たな施設および既存施設への投資を行い、バッテリーとEDUのアッセンブリーをミッドランドで行う計画を表明している。
2020年、新たに稼働予定のハムズホールのバッテリー・アッセンブリー・センターは、最先端技術を集結させた施設で、15万ユニットを生産。ジャガー・ランドローバーのEDUグローバル拠点であるウルバーハンプトンのエンジン・マニュファクチャリング・センター(EMC)とともに、ジャガーおよびランドローバーの次世代モデルの生産を支えていく。
キャッスル・ブロムウィッチ工場には、7月後半に、ジャガー・ランドローバーの次世代アーキテクチャーの「Modular Longitudinal Architecture(MLA)」に必要な設備と技術を導入。MLAでは自社で設計およびエンジニアリングを行い、フルバッテリーEVやハイブリッド・モデルだけでなく、ディーゼルおよびガソリン・モデルに対してもフレキシブルに適用することができると云う。
ジャガー・ランドローバーでは、電動モデルの拡充により、個々のライフスタイルに合った車両の選択肢を広げていくが、その一方で、購買への課題についても認識。最高経営責任者(CEO)のラルフ・スペッツ博士は、以下のように話している。
「私たち全員が必要とするレベルまでEVを進化させるには、高い利便性とお求めやすい価格であることが重要な条件となります。
従来のように給油するのと同じくらい、容易に充電できるようにならなくてはなりません。お求めやすい価格は、車両製造工場に近い英国内でバッテリーを生産すれば、海外からの輸送コストとリスクを回避できるため、成し遂げられると確信しています。
英国には原材料があり、大学では研究が行われ、サプライヤーの基盤も確立しています。英国は最先端モビリティの開発・製造の拠点となり雇用を創出することも実現できるのです」。
ジャガー・ランドローバーは、英国に大規模なバッテリー生産拠点をつくるため、UK Battery Industrialisation Centre(UKBIC)と政府の「ファラデー・チャレンジ(Faraday Challenge)」と協力。より小型で高密度、さらに廉価な次世代バッテリー技術の開発を目指す。
またこうした取り組みを通じて、既存のサプライチェーンをサポートし成長を促すことで、材料の海外依存を軽減。結果として、英国内でバッテリー生産を可能にし、自動車企業の需要を高め、将来的に大規模工場を引き付けていきたいとしている。