ジャガー・ランドローバーは、10億ポンド(約1,440億円)を投じ、スロバキア共和国ニトラ市に英国自動車メーカーとして初となる、最先端の製造工場を新設した。
ビジネスの中核を英国に置く同社は、これまで2014年に中国の奇瑞汽車との合弁工場を、2016年にブラジル工場を開設。2011年からインド、2017年からオーストリアでの製造契約に締結しており、今回のスロバキア工場への投資で、成長戦略をさらに推進。
英国外に製造拠点を新設することで、通貨変動から受ける影響を最小限にし、世界を舞台に競争力の高いビジネス展開をするとしている。
[スロバキアの新設工場について]
スロバキア工場では、現在約1,500人の従業員を雇用し、来月11月にはさらに、現地採用で新規850人の雇用を予定。従業員は、同社初の国外トレーニング・アカデミーで、12週間にわたる研修を受ける。
30万平方メートルにおよぶ新工場は、スロバキアにおけるアルミニウム製造や専門性の高いエンジニアリングの最前線となり、年間の生産能力は15万台。2018年9月には1台目のランドローバー「DISCOVERY」が完成した。
新工場では、従来の運搬システムに比べ30%高速化されたKUKA社のPulse運搬システムをヨーロッパで初めて採用。また、高度な自動塗装工程を採用し、品質を確保しながら、環境への影響を最小限に抑えるとしている。
また、将来を見据え、スマートかつコネクティビティに優れた製造技術にも対応できるようフレキシビリティのある設計で、例えば、リアルタイムデータを活用し、作業現場を視覚化して問題解決をするほか、製造工程の効率性や配送、品質の向上を促進する。
ジャガー・ランドローバーは、産業全体の44%を占めるとも云われるスロバキアのプレミアム自動車分野で、新工場近接のサプライヤーとネットワークを構築、シートやホイールといった多くのパーツを現地調達し、ランドローバー「DISCOVERY」を製造。スロバキア共和国の自動車産業のサプライチェーンに数千人の雇用をもたらすとしている。
[地域コミュニティとの協力]
ジャガー・ランドローバーは、過去半年間で約500時間をかけ、ニトラ市や近隣コミュニティでのボランティア・プロジェクトをサポートしてきた。
さらに、同社初の試みとなる従業員のための補助金プログラムや、ポンディス財団と連携して将来の地域支援プロジェクトのための基金を開設。
また、過去3年間にわたって、スロバキア共和国の自動車産業の次世代を担うエンジニアを育成する新たなプログラムも提供してきたと云う。
11月には、遠隔操作でオフロードのテストトラックを走行できる四輪駆動車の設計と組み立てを競う「Land Rover 4×4 in Schools」を開催。スロバキアで3年目を迎える今年は、10校が参加し、同国で初となる「Jaguar Primary School Challenge」の年内開催を決定した。
スロバキア工場の竣工式で、ジャガー・ランドローバー最高経営責任者(CEO)のラルフ・スペッツ博士は、次のようにコメントしている。
「グローバルで展開するビジネスには、グローバルな製造拠点が必要です。その一方で、ジャガー・ランドローバーの核は英国にあることに変わりはありません。世界に拡張していくことは、英国のビジネスをより繁栄させ、より強固なものにすると確信しています。
スロバキア共和国二トラ市にオープンした次世代製造工場は、ジャガー・ランドローバーにとってマニュファクチャリング分野の新たな幕開けを意味します。
私たちの目標に向けた長期的なグローバリゼーション・プログラムの遂行と4年の歳月を費やして取り組んだ計画が実を結んだといえるでしょう。
英国、中国、ブラジル、オーストリアにある、当社の製造工場に新たに加わるこのスロバキア共和国のハイテクノロジーな施設は、当社の英国における研究開発やエンジニアリングを補完し、サポートする存在になると期待しています。」
※1ポンド=144円にて換算(2018年10月31日現在)