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2022年4月21日【特集・解説】

ジェイテクト佐藤和弘社長に訊く、CASE時代を生き抜く道

NEXT MOBILITY編集部

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本社・本店もあるべきところ、愛知・刈谷地区へ一気に移転を決断

 

 

 佐藤 普段からトヨタグループのアイシンさん、(豊田自動)織機さん、(トヨタ)紡織さん、デンソーさんと付き合っているのに、どうしてジェイテクトが名古屋市に居ないといけないのか。とにかくトヨタグループとしてあるべきところにまずは本社を移そうと考えました。

 

 ちなみに名名古屋駅前に本社を置いていた理由は色々あって、そのひとつは合併当時、光洋(精工)が主力だったことから本店が大阪にあったからです。

 

 

 

――旧光洋精工の本拠は大阪でしたね。

 

 

 佐藤 その光洋のイメージがあったから、トヨタグループ内の人から見ると「ジェイテクトは関西の会社だよね」と言う印象が残る訳です。

 

 だから翌年の株主総会で、本店を大阪から刈谷に移すぞと言って、去年の6月に本店をこちらに移し、今は名実共に刈谷のジェイテクトになりました。

 

 ちなみに刈谷の方では、アイシン、デンソー、豊田自動織機、トヨタ紡織の4社の社長が集まって懇談する〝刈谷4社会〟というものがあるのですが、ジェイテクトが移動してたので、直ぐに〝刈谷5社会〟に変えて頂き、今は仲間となって連携を密にさせて頂いています。

 

 

 

――そういう事ですか。

 

 

 

 佐藤  それでも悔しいのは(笑)、この間(今年の1月13日)、刈谷4社で通勤用の燃料電池バスを揃って共同導入した際の記者発表会が行われた事です。

 

 どうして4社の共同となっていて、ジェイテクトが入っていないのだろうと、当初は思ったのですが、燃料電池バスを注文してから実現する迄に2年程度掛かるため、我々が名古屋にいた時に4社で話が纏(まと)まり、注文に至ったのです。

 

 私が刈谷に居れば声が掛かった筈ですが、かつて当社が普通のトヨタグループの会社とは違った風に捉えられていたのがとても悔しい。そこで「我々はトヨタグループの会社だ」と言う意識付けを社内でも周知している最中です。

 

 

 

――――佐藤社長の決断、早いですね。ジェイテクトのトヨタグループの一員としての状況を、しっかりと固めている状況ですね。

 

 

 

 佐藤 他にもトヨタグループに於ける製品の貢献度というところで、まだまだ不十分です。

 

 例えばアイシンさんに製品を販売させて頂く際、そもそもトヨタグループ傘下であればグループ間取引が殆どで、ライバルの商流は少ないのが普通です。しかし実際には同等程度ライバルも入っている訳です。 私は「それって一体どういうことだ」と社内で発破を掛けています。それも悔しい一例のひとつです。

 

 

トヨタグループ内でも競争と強調の両面を生かし合うことが必要

 

 

――――トヨタグループの中でもライバルにもなるし、上手く連動しつつ競争と協調の両面を生かしてジェイテクトの位置づけを更に固めていく事が必要なのでしょうね。

 

 

 

 佐藤 アイシンさんから見れば、我々のライバル会社とジェイテクトは同等に見える。 トヨタグループの会社とは見えずに、同等に見える訳です。

 

これは私に取ってみれば大変悔しい事で、8割、9割のシェアが我が社にあり、残りの特定の製品はライバルからも少しは買って貰う。これがあるべき姿なのに、なぜこんな状況になっているのかというのが一番改めたいところで、かつ、やっぱり悔しいところなのです。

 

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坂上 賢治

NEXT MOBILITY&MOTOR CARS編集長。日刊自動車新聞を振り出しに自動車産業全域での取材活動を開始。同社の出版局へ移籍して以降は、コンシューマー向け媒体(発行45万部)を筆頭に、日本国内初の自動車環境ビジネス媒体・アフターマーケット事業の専門誌など多様な読者を対象とした創刊誌を手掛けた。独立後は、ビジネス戦略学やマーケティング分野で教鞭を執りつつ、自動車専門誌や一般誌の他、Web媒体などを介したジャーナリスト活動が30年半ば。2015年より自動車情報媒体のMOTOR CARS編集長、2017年より自動車ビジネス誌×WebメディアのNEXT MOBILITY 編集長。

松下次男

1975年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として国会担当を皮切りに自動車販売・部品産業など幅広く取材。その後、長野支局長、編集局総合デスク、自動車ビジネス誌MOBI21編集長、出版局長を経て2010年論説委員。2011年から特別編集委員。自動車産業を取り巻く経済展望、環境政策、自動運転等の次世代自動車技術を取材。2016年独立し自動車産業政策を中心に取材・執筆活動中。

間宮 潔

1975年日刊自動車新聞社入社。部品産業をはじめ、自動車販売など幅広く取材。また自動車リサイクル法成立時の電炉業界から解体現場までをルポ。その後、同社の広告営業、新聞販売、印刷部門を担当、2006年に中部支社長、2009年執行役員編集局長に就き、2013年から特別編集委員として輸送分野を担当。2018年春から独立、NEXT MOBILITY誌の編集顧問。

片山 雅美

日刊自動車新聞社で取材活動のスタートを切る。同紙記者を皮切りに社長室支社統括部長を経て、全石連発行の機関紙ぜんせきの取材記者としても活躍。自動車流通から交通インフラ、エネルギー分野に至る幅広い領域で実績を残す。2017年以降は、佃モビリティ総研を拠点に蓄積した取材人脈を糧に執筆活動を展開中。

中島みなみ

(中島南事務所/東京都文京区)1963年・愛知県生まれ。新聞、週刊誌、総合月刊誌記者(月刊文藝春秋)を経て独立。規制改革や行政システムを視点とした社会問題を取材テーマとするジャーナリスト。

山田清志

経済誌「財界」で自動車、エネルギー、化学、紙パルプ産業の専任記者を皮切りに報道分野に進出。2000年からは産業界・官界・財界での豊富な人脈を基に経済ジャーナリストとして国内外の経済誌で執筆。近年はビジネス誌、オピニオン誌、経済団体誌、Web媒体等、多様な産業を股に掛けて活動中。

佃 義夫

1970年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として自動車全分野を網羅して担当。2000年出版局長として「Mobi21」誌を創刊。取締役、常務、専務主筆・編集局長、代表取締役社長を歴任。2014年に独立し、佃モビリティ総研を開設。自動車関連著書に「トヨタの野望、日産の決断」(ダイヤモンド社)など。執筆活動に加え講演活動も。

熊澤啓三

株式会社アーサメジャープロ エグゼクティブコンサルタント。PR/危機管理コミュニケーションコンサルタント、メディアトレーナー。自動車業界他の大手企業をクライアントに持つ。日産自動車、グローバルPR会社のフライシュマン・ヒラード・ジャパン、エデルマン・ジャパンを経て、2010年にアーサメジャープロを創業。東京大学理学部卒。

福田 俊之

1952年東京生まれ。産業専門紙記者、経済誌編集長を経て、99年に独立。自動車業界を中心に取材、執筆活動中。著書に「最強トヨタの自己改革」(角川書店)、共著に「トヨタ式仕事の教科書」(プレジデント社)、「スズキパワー現場のものづくり」(講談社ピーシー)など。