本社・本店もあるべきところ、愛知・刈谷地区へ一気に移転を決断
佐藤 普段からトヨタグループのアイシンさん、(豊田自動)織機さん、(トヨタ)紡織さん、デンソーさんと付き合っているのに、どうしてジェイテクトが名古屋市に居ないといけないのか。とにかくトヨタグループとしてあるべきところにまずは本社を移そうと考えました。
ちなみに名名古屋駅前に本社を置いていた理由は色々あって、そのひとつは合併当時、光洋(精工)が主力だったことから本店が大阪にあったからです。
――旧光洋精工の本拠は大阪でしたね。
佐藤 その光洋のイメージがあったから、トヨタグループ内の人から見ると「ジェイテクトは関西の会社だよね」と言う印象が残る訳です。
だから翌年の株主総会で、本店を大阪から刈谷に移すぞと言って、去年の6月に本店をこちらに移し、今は名実共に刈谷のジェイテクトになりました。
ちなみに刈谷の方では、アイシン、デンソー、豊田自動織機、トヨタ紡織の4社の社長が集まって懇談する〝刈谷4社会〟というものがあるのですが、ジェイテクトが移動してたので、直ぐに〝刈谷5社会〟に変えて頂き、今は仲間となって連携を密にさせて頂いています。
――そういう事ですか。
佐藤 それでも悔しいのは(笑)、この間(今年の1月13日)、刈谷4社で通勤用の燃料電池バスを揃って共同導入した際の記者発表会が行われた事です。
どうして4社の共同となっていて、ジェイテクトが入っていないのだろうと、当初は思ったのですが、燃料電池バスを注文してから実現する迄に2年程度掛かるため、我々が名古屋にいた時に4社で話が纏(まと)まり、注文に至ったのです。
私が刈谷に居れば声が掛かった筈ですが、かつて当社が普通のトヨタグループの会社とは違った風に捉えられていたのがとても悔しい。そこで「我々はトヨタグループの会社だ」と言う意識付けを社内でも周知している最中です。
――――佐藤社長の決断、早いですね。ジェイテクトのトヨタグループの一員としての状況を、しっかりと固めている状況ですね。
佐藤 他にもトヨタグループに於ける製品の貢献度というところで、まだまだ不十分です。
例えばアイシンさんに製品を販売させて頂く際、そもそもトヨタグループ傘下であればグループ間取引が殆どで、ライバルの商流は少ないのが普通です。しかし実際には同等程度ライバルも入っている訳です。 私は「それって一体どういうことだ」と社内で発破を掛けています。それも悔しい一例のひとつです。
トヨタグループ内でも競争と強調の両面を生かし合うことが必要
――――トヨタグループの中でもライバルにもなるし、上手く連動しつつ競争と協調の両面を生かしてジェイテクトの位置づけを更に固めていく事が必要なのでしょうね。
佐藤 アイシンさんから見れば、我々のライバル会社とジェイテクトは同等に見える。 トヨタグループの会社とは見えずに、同等に見える訳です。
これは私に取ってみれば大変悔しい事で、8割、9割のシェアが我が社にあり、残りの特定の製品はライバルからも少しは買って貰う。これがあるべき姿なのに、なぜこんな状況になっているのかというのが一番改めたいところで、かつ、やっぱり悔しいところなのです。