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2022年4月21日【特集・解説】

ジェイテクト佐藤和弘社長に訊く、CASE時代を生き抜く道

NEXT MOBILITY編集部

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― LEADERS VOICE Volume_26 / ジェイテクト 取締役社長 佐藤 和弘 ―

 

 

 100年に一度の大変革期を迎えている自動車産業下で、今後の生き残りを賭ける程、厳しい環境に置かれているのが〝サプライヤー〟と呼ばれる自動車部品関連企業だ。

 

 次世代技術のCASE対応やMaaSへ向かう今日の趨勢(すうせい)は、部品サプライヤーの既存ビジネスを根底から覆す事にもなりかねない。その一方で、サプライヤーの技術力を生かすビジネスチャンスの到来でもある。

 

 特にトヨタグループの有力サプライヤーの中でも、異色の存在が光洋精工と豊田工機が2006年に合併して誕生したジェイテクトだ。 既に合併から15年が経過したジェイテクトは、駆動系、ステアリング機構にベアリング(軸受け)、工作機械、FAシステムなど多角的な事業を抱える。

 

 2020年6月から、そのジェイテクト社長に就任したのが、トヨタ自動車に於ける品質保証のエキスパートでカスタマーファースト推進本部長を務めてきた佐藤和弘氏だ。

 

 佐藤体制に移行して以降、ジェイテクトは社内改革の実践と共に、中長期を視野に未来を生き抜いていくための経営指針の策定を経て、トヨタグループ企業の在るべき姿を目指す道へと舵を切っている。 そこで今回は、佐藤社長にジェイテクトの改革の成果と、サプライヤーとしての今後の方向づくりなどについて聞いた。(主筆・佃 義夫)

 

 

トヨタの有力サプライヤーとして、本格的な事業ブランド統一

 

 

――ジェイテクトと言えば、トヨタグループの有力サプライヤーとして異色の存在で、旧光洋精工と旧豊田工機の合併で誕生し話題になりました。

 2006年にジェイテクトとして新たなスタートを切り、2020年に佐藤社長がジェイテクトのトップに就任され、コロナ禍などの転換期を経た中、今後、ジェイテクトをどう引っ張っていくか、また率いていくのか、という状況にあるかと思います。

 そうした中で今年に入り、4月から事業ブランド統一を打ち出された。このジェイテクトとしての事業ブランドの統一に併せ、昨年からは〝ジェイテクトReborn〟という方向づくりも進めておられる。まずは、この考え方についてお聞きしたい。

 

 

 

 佐藤 私はトヨタ自動車から2020年の1月にジェイテクトに来て顧問になった訳ですが、社長になるまでの6カ月間、〝顧問〟としての立場で、この会社がどういう会社で、どういう状況なのかをじっくり見させて頂いた。

 

 その後、私が経営を引き継いだ時には赤字だったものですから、それを抱えた上で、どう舵取りしていくかを前提に、色々会社の中を注視すると、気に掛かる事や不十分なところが見えて来ました。

 

 そうした中で最も大切だと思った事は、〝旧光洋〟と〝豊田工機〟が同居しているけれども家族になっていない事。 そこで〝ジェイテクトReborn〟を掲げた時に「同居から家族へ」というキャッチフレーズも併せて打ち出したのです。

 

 この〝家族になっていない〟は、どういう意味かというと、各々の事業は事業部でシッカリやっているけれど、お互いのところには干渉しないし、協力もしない。ましてや子会社との連携も無いという状況だった。

 

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坂上 賢治

NEXT MOBILITY&MOTOR CARS編集長。日刊自動車新聞を振り出しに自動車産業全域での取材活動を開始。同社の出版局へ移籍して以降は、コンシューマー向け媒体(発行45万部)を筆頭に、日本国内初の自動車環境ビジネス媒体・アフターマーケット事業の専門誌など多様な読者を対象とした創刊誌を手掛けた。独立後は、ビジネス戦略学やマーケティング分野で教鞭を執りつつ、自動車専門誌や一般誌の他、Web媒体などを介したジャーナリスト活動が30年半ば。2015年より自動車情報媒体のMOTOR CARS編集長、2017年より自動車ビジネス誌×WebメディアのNEXT MOBILITY 編集長。

松下次男

1975年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として国会担当を皮切りに自動車販売・部品産業など幅広く取材。その後、長野支局長、編集局総合デスク、自動車ビジネス誌MOBI21編集長、出版局長を経て2010年論説委員。2011年から特別編集委員。自動車産業を取り巻く経済展望、環境政策、自動運転等の次世代自動車技術を取材。2016年独立し自動車産業政策を中心に取材・執筆活動中。

間宮 潔

1975年日刊自動車新聞社入社。部品産業をはじめ、自動車販売など幅広く取材。また自動車リサイクル法成立時の電炉業界から解体現場までをルポ。その後、同社の広告営業、新聞販売、印刷部門を担当、2006年に中部支社長、2009年執行役員編集局長に就き、2013年から特別編集委員として輸送分野を担当。2018年春から独立、NEXT MOBILITY誌の編集顧問。

片山 雅美

日刊自動車新聞社で取材活動のスタートを切る。同紙記者を皮切りに社長室支社統括部長を経て、全石連発行の機関紙ぜんせきの取材記者としても活躍。自動車流通から交通インフラ、エネルギー分野に至る幅広い領域で実績を残す。2017年以降は、佃モビリティ総研を拠点に蓄積した取材人脈を糧に執筆活動を展開中。

中島みなみ

(中島南事務所/東京都文京区)1963年・愛知県生まれ。新聞、週刊誌、総合月刊誌記者(月刊文藝春秋)を経て独立。規制改革や行政システムを視点とした社会問題を取材テーマとするジャーナリスト。

山田清志

経済誌「財界」で自動車、エネルギー、化学、紙パルプ産業の専任記者を皮切りに報道分野に進出。2000年からは産業界・官界・財界での豊富な人脈を基に経済ジャーナリストとして国内外の経済誌で執筆。近年はビジネス誌、オピニオン誌、経済団体誌、Web媒体等、多様な産業を股に掛けて活動中。

佃 義夫

1970年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として自動車全分野を網羅して担当。2000年出版局長として「Mobi21」誌を創刊。取締役、常務、専務主筆・編集局長、代表取締役社長を歴任。2014年に独立し、佃モビリティ総研を開設。自動車関連著書に「トヨタの野望、日産の決断」(ダイヤモンド社)など。執筆活動に加え講演活動も。

熊澤啓三

株式会社アーサメジャープロ エグゼクティブコンサルタント。PR/危機管理コミュニケーションコンサルタント、メディアトレーナー。自動車業界他の大手企業をクライアントに持つ。日産自動車、グローバルPR会社のフライシュマン・ヒラード・ジャパン、エデルマン・ジャパンを経て、2010年にアーサメジャープロを創業。東京大学理学部卒。

福田 俊之

1952年東京生まれ。産業専門紙記者、経済誌編集長を経て、99年に独立。自動車業界を中心に取材、執筆活動中。著書に「最強トヨタの自己改革」(角川書店)、共著に「トヨタ式仕事の教科書」(プレジデント社)、「スズキパワー現場のものづくり」(講談社ピーシー)など。