埼玉工業大学(本部:埼玉県深谷市 以下、埼工大)発ベンチャー企業のフィールドオートは、2月15日、愛知県一宮市の公道において、全国初の5G(第五世代移動通信システム)等を活用した複数台の遠隔監視型自動運転の実証実験を2月9日(土)に実施したと発表した。
フィールドオートは、自動運転関連のソフトウェアなどを手掛けるティアフォーが出資し、埼工大が2018年7月に設立した自動運転技術を研究開発する大学発ベンチャーだ。
今回の実証実験は、愛知県が取り組む自動運転の社会実装を見据えた「平成30年度自動運転実証推進事業」における実証実験の一環。人口減少や少子化などの社会的課題に対し、地域における移動手段の確保として自動運転技術を活用すること等を目的としている。
実験には、他にもアイサンテクノロジー、KDDI、KDDI総合研究所、損害保険ジャパン日本興亜、ティアフォー、岡谷鋼機、名古屋大学らも参画。
それらの中でフィールドオートは、ティアフォーと連携し、自動運転車両の助手席でオペレーションを行うシステム監視者を担当した。
実験の主な内容は、KDDI名古屋ネットワークセンター周辺の公道において、KDDIが提供する5G回線を活用して、一人のオペレーターで遠隔監視・操作する2台の自動運転車両を同時走行させるといったもの。
なお、実証実験では、大村愛知県知事及び中野一宮市長も試乗を体験している。
特に、今回注目だったのは、自動運転車両の速度だ。今まで国内では、遠隔操作・監視の場合、時速20kmでの走行しか認められていなかったが、今回は5G回線が高速、大容量、低遅延の回線であることから、時速約30kmまで認められている。
実際に当日は、運転席にドライバーがいない車両が、2台同時に時速約30kmで走行。交通量の多い公道で無事に実験ルートを完走した。
この結果について、フィールドオートでは、
「日本の公道で初めて一人の遠隔ドライバーで実用に近い走行速度で複数台同時に運行ができることを示せた点で画期的です。
5G回線は自動運転に役立つこと、自動運転が5G回線のキラーアプリケーションとなることが理論的には予想されていましたが、その可能性を証明できました」
とのコメントを発表している。