出光興産は6月16日、豪州でリチウム事業を推進する「Delta Lithium (デルタリチウム/以下、DLI社)」に出資。今年1月に実施した5百万豪ドルの初期出資と合せて、合計出資額が約53百万豪ドル、株式保有比率が15%に達したことを発表した。
同社は、電気自動車(EV)をはじめとしたモビリティの電動化や、定置用大型蓄電池需要の拡大に伴うリチウムの需要増加に対応するため、リチウム採鉱の知見を蓄積し、地政学的に安定した豪州でのリチウム鉱石の生産・供給安定化に貢献することを目指すとしている。
鉱物資源に恵まれる豪州には、リチウム・バナジウムといった多くのレアメタルが賦存。DLI社は、西オーストラリア州でリチウム鉱山に関する2つのプロジェクト(Mt.Idaプロジェクト/Yinnetharraプロジェクト)で、リチウムの探鉱活動を推進し、昨年10月、Mt.Idaプロジェクトに於いて、リチウム鉱量12.7Mt、品位1.2%のJORC資源量(※1)があることを公表。リチウム鉱石(スポジュメン)採掘に向けた事業化の検討を進めるための出資者を募った。
出光興産は、豪州子会社である「出光オーストラリア(Idemitsu Australia/本社:ブリスベン)」が重要鉱物(クリティカルミネラル)事業推進を目的として設立した「出光ミネラルズオーストラリア(Idemitsu Minerals Australia/出光オーストラリア出資100%)」を通じて、DLI社に追加出資し、既出資分の約2.3%を含めた合計出資額を15%とした。
さらに、DLI社との協業に関する検討も進めており、鉱山の操業・マーケティング・資金調達・政府支援政策の獲得活動・鉱区取得活動・購買・精製精錬技術、さらには下流のリチウム化合物製錬事業への進出について、今後協議していく予定だと云う。
出光興産は、今回の出資は、バナジウム鉱山プロジェクトを進めるCritical Minerals Group社、Vecco社への出資(※2)に続く、化石燃料から再生可能エネルギーへの転換に必要なレアメタル事業への進出を進める動きの一環であるとしており、今後も、豪州での約40年に亘る石炭鉱山操業で培ってきた事業基盤を活かして、石炭鉱山操業と親和性があり、低炭素社会を実現する上で不可欠なレアメタル事業への参入を進めていくとしている。
※1:JORC(Joint Ore Reserves Committee Code・鉱物資源量および鉱石埋蔵量の報告に関する大洋州規程)は、オーストラリア証券市場ASXに上場する資源関係企業が探鉱結果や鉱物資源量の報告を行う際の基準資源量。
※2:(出光興産のニュースリリース)豪州でのバナジウム探鉱プロジェクトに参画(2022年9月27日付)/ 豪州でバナジウム事業を推進するVecco社への出資を拡大(2023年3月24日付)
[デルタリチウム社の概要]
– 会社名:Delta Lithium Limited
– 所在地:Suite 4, 6 Centro Avenue, Subiaco, Perth, WA 6008, Australia
– 代表:David Flanagan
– プロジェクトの概要:
・プロジェクト名:Mt. Ida Project / Yinnetharra Project
・鉱山場所:西オーストラリア州