HORIBAは5月27日、自動車の排ガスや燃費試験において、試験前の車両状態及びソーク室温度を計測記録するソーク車両管理システム「STARS SOAK+(スターズソークプラス)」の本格展開を始めると発表した。
同製品は、ソーク中の車両状態やソーク室温度を計測しデジタルデータとして自動的に記録することで、ソーク確認作業を効率化するとともに、ヒューマンエラーの未然防止ならびにトレーサビリティを担保することが可能となるもの。排ガス・燃費試験の効率を向上させ、複雑化する車両開発の負荷軽減に貢献するという。
◾️開発の背景
排ガスや燃費試験に用いる車両は、試験データを正確に計測するため、事前にソーク室と呼ばれる一定の温度に保たれた部屋に入庫し安定させた後、試験を開始する。この際、厳密な試験結果を得るために、ソーク室の温度、ソーク中の車両の状態(タイヤの空気圧やエンジンオイルの温度など)のトレーサビリティを確保することが求められている。自動車メーカーでは、複数のソーク中の車両の状態を数名が手作業で計測・記録しており、試験の効率化に向けたニーズが高まっている。
今回発表された「STARS SOAK+」(特許出願済)は、試験車両およびソーク室の状態を計測したデータを、タブレット端末を用いることで簡単に記録・一元管理でき、一名での試験を可能とした。
さらに、別売のテストオートメーションシステム「STARS VETS(スターズベッツ)」などと連携することで、排ガス・燃費試験の帳票データに自動入力できるなど、誤入力によるヒューマンエラーをなくすとともにトレーサビリティを担保し、ソーク確認作業の信頼性を向上させた。
同製品は、すでに一部の認証機関や自動車メーカーに導入されており、今後は新機能の展開なども予定しているという。
◾️製品の特長
・タブレット端末を用いたデータの一元管理
「タイヤ空気圧・油水温測定ユニット」により、タイヤ空気圧とエンジンオイル温度を計測し、ソーク中の車両状態を容易に記録
・「ソーク室温測定ユニット」により、ソーク室の入出庫時間やソーク室温度データを自動で常時記録保存
各種計測データをタブレット端末で一元管理。一名での作業が可能となり工数低減に貢献
◾️測定データの自動アップロード
別売のテストオートメーションシステム「STARS(スターズ) VETS(ベッツ)」やテストオートメーションソフトウエア「STARS(スターズ) Enterprise(エンタープライズ)」と連携することで、排ガス・燃費試験の帳票データへの自動入力やデータベースへのアップロードが可能となり、誤入力リスクの低減と試験効率の向上に寄与
そのほか、電動車両の試験効率向上に向け、「バッテリー充電量計測機能」の展開を予定しているとのことだ。