ホンダは6月11日、新事業創出プログラム「IGNITION(イグニッション)」の全社展開の開始を発表した。
IGNITIONは、2017年にホンダの研究開発を担う子会社、株式会社本田技術研究所で開始した。開始以来、IGNITIONには沢山の事業アイデアの応募があり、すでにHondaの事業と親和性が高い数点の提案は社内での事業化を目指し推進されている。
一方、ベンチャーを起業し、その特性を活かして取り組んだ方が、より早く社会に価値を提供できる提案もあったため、2020年に「社内での事業化」に加え、「ベンチャーを起業して事業化を目指す」という方法をIGNITIONに追加している。
同日、設立を発表した株式会社Ashiraseは、IGNITION発のベンチャー企業第1号となる。
さらに、2021年4月からはIGNITIONの全社展開を開始した。技術者だけでなく、生産や営業、管理などさまざまな部門の従業員が持つアイデア・夢を実現することで、まだ世の中にないモノやコトを創造することを目指している。
なお、IGNITIONはベンチャーキャピタルと連携して実施される。IGNITIONの審査過程において、提案者はベンチャーキャピタルのアドバイスや支援を受けることが可能だ。
■株式会社Ashirase
視覚障がい者の歩行をサポートするシューズイン型のナビゲーションシステム「あしらせ」はアプリで移動ルートを設定し、靴の中に取り付けたデバイスが振動してナビゲーションを行う。直進時は足の前方の振動子が振動、右左折地点が近づくと、右側あるいは左側の振動子が振動して知らせる。進行方向を直感的に理解することができる。2022年度中の発売を目指している。
■本田技研工業株式会社 常務執行役員 IGNITION審査委員長 水野 泰秀のコメント
「Hondaには独創的な技術やアイデアと、人の役に立ちたい、社会に貢献したい、という熱い想いを持つ従業員が沢山います。IGNITIONはそうした従業員の技術やアイデアを育て、形にし、新しい価値を創造して社会課題の解決に結びつけるプログラムです。そこに今回、起業という新たな挑戦の全社員向け展開を始めました。起業のハードルは非常に高いですが、このIGNITIONをきっかけに、Hondaのチャレンジングスピリットをさらに活性化し、既存事業の枠を超えて、世の中にないモノ・コトを創造し、新しい風を起こしていきます」