本田技研工業株式会社(本社:東京都港区、社長:八郷隆弘、以下、ホンダ)は3月29日、ホンダの中国に於ける四輪生産販売合弁会社である広汽本田汽車有限公司(本社:広東省広州市、総経理:佐藤利彦)が、元々同社の100%出資子会社として運営していた本田汽車(中国)有限公司(以下、本田汽車)を2020年4月1日付けで吸収合併すると発表した。(坂上 賢治)
これに伴い、本田汽車(中国)は、広汽本田汽車有限公司の「広州開発区工場」に名称変更される。
ホンダは一昨年の2018年8月、中国での生産体制を見直すため本田汽車を広汽本田に6億元(当時の額面で約102億円)で売却。生産品目を中国向けに切り替える等の施策を推し進めてきた。
これを踏まえた上で今後は、日本のホンダ本社の基本方針として、来る2025年までに中国で20車種を超える電動車両を発売する方針を掲げている。従って世界を見据えた見地から生産拡充を目指すべく、体制の柔軟性をよりに高めていく狙いがあると見られる。
ちなみにホンダと広州汽車の合弁会社である「広汽本田汽車有限公司」の成り立ちは、広州汽車との合弁体制から1997年3月に、仏・プジョーが撤退したことが契機となった。
これに伴い、広州汽車との新たな合弁パートナーとして本田技研工業が名乗りを上げ、両社の新合弁会社として1998年5月7日に両社による調印が行われ、同年7月1日に「広汽本田汽車」として新発足・設立された。
広州汽車とホンダ陣営との出資比率は、広州汽車集団股份有限公司が50%。本田技研工業が40%。本田技研工業(中国)投資有限公司が10%だ。
こうして設立された広汽本田汽車は、2008年4月20日に、第10回北京モーターショーで、ホンダとしては外資(広汽汽車)との合弁会社から初の試みとなった自主ブランド「理念(Everus)」を発表。
2011年4月17日に、同ブランド「理念」から新型車S1を発売。さらに2013年7月18日には、広汽集団とホンダが、中国でのアキュラ事業で基本合意を発表。また同年には、中国国内に完成車の新生産ラインやエンジン工場を着工するなど、着実に事業規模の拡大を積み上げてきた。
対して本田汽車(中国)は、中国初の四輪完成車生産輸出工場として2003年に設立。よりフレキシブルで高効率な生産稼働体制への進化、並びに事業体質の向上を目指し2018年の広汽本田による完全子会社化を経て、今回、広汽本田汽車により吸収合併される。
広汽本田「広州開発区工場」 の全体写真
これに伴い名称変更されることとなった広汽本田「広州開発区工場」では、メキシコ向け「CITY(シティ)」の生産輸出を継続しつつ、新たに4月より中国国内向けの「ACCORD(アコード)」の生産を開始する予定だ。
これにより広汽本田自身の生産能力は、今回、新たに加わる「広州開発区工場」の5万台を合わせて77万台/年に拡大される。
本田技研工業を通した発表で広汽本田は「より高効率で柔軟性のある生産体制へと進化することで、お客様に価値ある商品をタイムリーにお届けし、移動の喜びの拡大を図ってまいります」と印している。
本田汽車(中国)有限公司概要(2020年3月末現在)
設立:2003年9月
所在地:中国 広東省 広州市 広州経済技術開発区
資本金:67,871.48万 人民元
出資比率:広汽本田汽車有限公司 100%
総経理:富木 弘一
事業内容:四輪車の製造、販売、輸出/四輪車用エンジン及び部品輸出
従業員:751名
生産開始:2005年4月
生産能力:5万台/年
主な生産車種:CITY(メキシコ向け輸出)