日立産機システムは11月2日、LTE通信のキャリア通信網に対応し、アンテナ内蔵のコンパクトな産業用無線ルータ「CPTrans-MEW」を2020年12月から販売開始する。同製品は耐振動性に優れたコンパクトボディで、装置のIoT化に貢献すると期待される。
産業用無線ルータは、産業用設備や機器をキャリア通信網に接続する機器で、装置の遠隔監視などに使用されている。近年はIoT化により、稼働情報をクラウドに繋げるニーズが年々高まってきている。
また、2024年にサービスが終了するISDN(※電話線を使用したデジタル回線のインターネット通信技術)回線を使用していた装置の切り替え対応も必要となっており、日立産機では2002年から産業用無線ルータの事業を進め、自社の空気圧縮機のクラウド監視や鉄道・バスなどの位置情報、電子マネーの無線決済などに展開してきた。今回、新開発されたのは、アンテナを内蔵したコンパクトな本体に、無線LANにも対応することで、幅広い用途に使うことができる産業用無線ルータとなる。
産業分野向け機器は、長時間稼働するさまざまな装置・機械に組み込まれるため、安全・安定に通信できることが重要。同製品も-20℃~+60℃の使用温度範囲と産業機械の振動・衝撃に対応した設計になっている。手のひらサイズのコンパクトなボディで、LTE通信用および無線LAN用のアンテナを内蔵。設備側の通信インターフェースには無線LANとイーサネット(Ethernet)に対応しており、装置・機械の狭小なスペースにも設置可能だ。同製品により装置・機械をLTE通信網に繋げることで、設備の遠隔監視・保守や、緊急時のメール配信、移動体の位置情報の管理、コンテンツ配信などに活用できる。
LTE回線は、安価な128kbpsから最大150Mbp(理論最大値)の高速LTE通信まで。用途に最適な通信環境を、国内主要通信事業者の回線契約を含め日立産機がワンストップでの対応が可能だ。
■主な特長
(1)産業機械に適したタフな本体
産業用機械は、化学機械、環境装置、プラスチック機械、風水力機械、運搬機械など使用される場所も多岐にわたり、稼働時間も長く、厳しい使用条件が必要とされることが多い。「CPTrans-MEW」は専用機での産業機械や鉄道車両用などの設計ノウハウを生かした耐振動性と、-20℃~+60℃の使用温度範囲により、産業現場や移動する装置・機械への組み込みに適している。
(2)小型軽量・オールインワン
LTE通信用および無線LAN用のアンテナを内蔵したオールインワンの本体は、質量85グラムの軽量、かつ、手のひらサイズでコンパクトな本体のため既設の装置・機械の狭小なスペースにも設置可能。また、電源はDC5V~24Vに対応しているため、工場に設置される装置・機械をはじめ、フォークリフトや工事車両などの移動する機械にも容易に設置することができる。
(3)幅広い用途のIoT化に貢献
装置・機械側の通信インターフェースには有線のEthernetでのPLC*5など工場に設置された設備との通信インターフェースに加え、無線LANにより、機器・センサーとの接続やタブレット端末へのフレキシブルな接続が容易になる。工場のITインフラを介さず安全なキャリア通信網で産業用途の様々な機器をLTE通信網に繋げることで、設備の遠隔監視・保守や、緊急時のメール配信、電子掲示板のコンテンツ配信に加え、移動体の位置情報の管理も可能なため、建設機械、建設現場、車両など仮設・移動する現場の対応も含めて幅広い用途で活用できる。
■産業用無線ルータ 「CPTrans-MEW」に関するホームページ :www.hitachi-ies.co.jp/products/ubiquitous/cptrans/index.html