日立製作所は、12月25日、同社100%子会社で車載用リチウムイオン電池事業を行う日立ビークルエナジーの資本関係を再編し、INCJおよびマクセルホールディングスとの共同出資体制に移行することで合意し、基本合意書ならびに株式譲渡契約を締結した。
具体的には、日立が保有する日立ビークルエナジーの株式をINCJおよびマクセルに譲渡するとともに、日立の100%子会社で自動車機器・関連システム事業を展開する日立オートモティブシステムズが、同社のバッテリーマネジメントシステム事業の一部等を日立ビークルエナジーへ吸収分割し、その対価として、日立ビークルエナジーの株式を取得する。
取引後、日立ビークルエナジーは日立の連結対象から外れ、INCJが47%、マクセルが47%、日立オートモティブシステムズが6%の株式をそれぞれ保有する共同出資会社となる(*)。
日立および日立オートモティブシステムズは今後、モーター、インバーターなどの電動化関連製品や自動運転など、モビリティ分野を含む社会イノベーション事業を強化する。
*:議決権比率は、INCJが76.2%、マクセルが14.0%、日立オートモティブシステムズが9.8%となる予定。
近年、環境規制の高まりを背景として、ハイブリッド車、プラグインハイブリッド車、電気自動車など電動車両の市場が拡大するなか、それらのキーデバイスである車載用リチウムイオン電池の需要は年々高まっている。
しかし一方で、車載用リチウムイオン電池市場では、海外メーカーの台頭により、グローバルな競争が激化している。
日立ビークルエナジーは、2004年の設立以来、ハイブリッド車向けの車載用リチウムイオン電池の製造を主要事業として、日立オートモティブシステムズとともに、国内外の大手自動車メーカーとの取引関係を構築してきた。
こうした中、日立は、多様な投資実績によって蓄積された知見や情報ネットワークを有するINCJ、長年培った電池技術・ノウハウを有するマクセル、そして大手自動車メーカーへの豊富な納入実績を有する日立オートモティブシステムズの3社の経営リソースの活用により、日立ビークルエナジーがグローバル市場における競争力を維持・強化できると判断。今回の合意に至ったとしている。
今後、日立ビークルエナジーは、新体制のもと、市場拡大が見込まれる電動車両向けに車載用リチウムイオン電池を提供するとともに、次世代電池技術の開発を進めていく。
[会社概要]
<日立ビークルエナジー>
– 名称:日立ビークルエナジー株式会社
– 所在地:茨城県ひたちなか市稲田1410番地
– 代表者:取締役社長:西原 昭二
– 事業内容:ハイブリッド電気自動車用などリチウムイオン電池の製造
– 資本金:7,500百万円 (株式会社日立製作所 100%)
– 設立年月日:2004年7月1日
<INCJ>
– 名称:株式会社INCJ
– 所在地:東京都千代田区丸の内一丁目4番1号
– 代表者:
代表取締役会長 (CEO)志賀 俊之
代表取締役社長 (COO)勝又 幹英
– 事業内容:改正前の産業競争力強化法と同趣旨の枠組みにおける特定事業活動支援等
– 資本金:500百万円
– 設立年月日:2018年9月 (株式会社産業革新機構から新設分割)
<マクセル>
– 名称:マクセルホールディングス株式会社
– 所在地:東京都港区港南二丁目16番2号
– 代表者:
取締役会長 千歳 善弘
取締役社長 勝田 善春
– 事業内容:グループ経営戦略立案および事業会社の統括管理等
– 資本金:12,203百万円
– 設立年月日:1960年9月3日
<日立オートモティブシステムズ>
– 名称:日立オートモティブシステムズ株式会社
– 所在地:東京都千代田区大手町二丁目2番1号
– 代表者:社長執行役員&CEO ブリス・コッホ
– 事業内容:自動車部分品および輸送用並びに産業用機械器具・システムの開発、製造、販売およびサービス
– 資本金:15,000百万円 (株式会社日立製作所 100%)
– 設立年月日:2009年7月1日
[日程]
契約締結日:2018年12月25日
取引完了日:2019年3月29日 (予定)