日立Astemo(以下、日立アステモ)は9月30日、自動車のハンドル操作時にタイヤを機械的な仕組みではなく電気制御で動作させる「ステアバイワイヤ」の開発に於いて、ハンドルの操作負担が少なく、滑らかで快適なステアリングフィール(*1)を実現すると同時に、冗長設計により、万一の故障時にも動作を継続し安全性を高めるフェイルセーフ機能を備えたステアバイワイヤのプロトタイプを開発したと発表した。
日立アステモでは、自動運転の進展を見据え、操舵系と転舵系のアクチュエーター(*2)を電気信号で連携させて、安全性・快適性の向上に加え、レイアウトの自由度を高めるステアバイワイヤの実用化に向けた取り組みを、日立グループの総合力を結集して進めていると云う。
通常、自動車のドライバーは、操舵動作に対する反作用としてハンドルから得られる操舵反力を通じて路面の状態を察知し、その情報を利用して運転操作を行うため、ステアバイワイヤに於いては、この操舵反力を発生させる機能(*3)が重要となるが、今回、日立アステモは、旧ショーワのステアリングフィール技術を活用した反力発生機能に、日立製作所の研究開発グループと共同開発した路面から伝わる情報をドライバーに伝える技術、旧日立オートモティブシステムズの技術を活用した横滑り制御機能に加え、万一の故障時にも動作を継続し安全性を高めるフェイルセーフ機能を備えたステアバイワイヤのプロトタイプを開発した。
<ステアバイワイヤ・プロトタイプの特徴>
・反力発生機能:2021年に経営統合した旧ショーワの長年にわたる研究から得られた高度なステアリングフィール技術を活用。
・ハンドルを切った角度に対して車体が曲がらない状態を伝える機能:日立製作所の研究開発グループと、路面から伝わる情報をドライバーに伝える情報制御技術を共同開発。
・横滑り制御技術:雪道に於ける轍のような走行路面の不規則性から受ける外部干渉を抑制し、ドライバーの修正舵(*4)を最小化する制御に、旧日立オートモティブシステムズの技術を活用。
・フェイルセーフ機能:操舵側と転舵側にあるそれぞれのアクチュエーターをつなぐワイヤーハーネスや電源を2系統化すると共に、操舵側アクチュエーター内にあるハンドルの舵角を検知する舵角センサーと転舵側アクチュエーター内の回路を3重化した他、4輪のブレーキによる制動力を制御し車両を操舵する機能を連携。
日立アステモは、排出ガスを低減する高効率な内燃機関システムと電動システムにより、より良い地球環境に貢献し、自動運転や先進運転支援システム、先進シャシーシステムを通じて、自動車の安全性・快適性を向上させていくとしている。
*1:ドライバーがハンドルを通して感じとる操作に対する車両動きの反応。操舵感。
*2:動力やドライバ―の操作による力を何らかの動作に変換する装置。
*3:ドライバーがハンドル操作によりステアリングを通してタイヤの向きを変える際に、タイヤが路面との摩擦で戻ろうとする力を反力という。それを電気信号として受信し疑似的に発生させる機能。
*4ハンドルを切った角度を車両の動きに応じて修正する操作。
■日立Astemo:https://www.hitachiastemo.com/jp/