日立Astemo(以下、日立アステモ)は9月26日、本田技研工業(以下、ホンダ)が2026年よりグローバル展開を予定している中・大型バッテリー式電気自動車(BEV)向けの電動アクスルを受注したと発表した。
システムインテグレーターとして、炭化ケイ素(SiC:シリコンカーバイド)を使用した高効率インバーターと角線を用いた高効率・低損失モーターをギアメーカーの小型で静粛性が高いギアボックスと組み合わせた自社開発の一体駆動ユニット(電動アクスル)を、ホンダに納入。電動化事業に於いて2025年度の売上4,000億円超を、2030年度にはその2倍以上を目指す。
電動化に係る積極投資で2030年度の収益8,000億円を目指す
世界各国からカーボンニュートラル実現に向けた表明が相次ぎ、自動車メーカーが電動車などの環境対応車の投入を加速するなか、パワートレインに於ける開発効率向上や部品点数削減によるコスト低減、軽量・コンパクト・高効率化などに寄与する電動アクスルの需要拡大が見込まれていると云う。
これを受けて、日立アステモでは、自社開発した電動アクスルをグローバルで様々な自動車メーカーに拡販することに加え、モーターやインバーターを自動車メーカーの内製やギアメーカーが組み立てる電動アクスル用に供給する2つのビジネスモデルで、急拡大する電動アクスル需要に対応していく計画だと云う。
また今後、2021年の経営統合によるシナジーを最大限に生かし、統合した拠点や技術、リソースを活用すると共に、グローバル生産拠点の更なる強化を図ることで、電動化事業におけるグローバルリーディングカンパニーとしての地位をさらに強化。具体的には、電動化事業に対し2025年度までに研究開発費を含めて3,000億円を投資し、2025年度に於ける電動化事業の売上収益を4,000億円超、さらに2030年度にはその2倍以上に拡大することを目指すとしている。
グループ連携でシステムインテグレーションに強みを発揮
日立アステモでは、日立製作所の研究開発グループとの連携で、インバーターに於いて、独自冷却方式のパワーモジュールや小型・薄型で放熱性の高い絶縁実装技術などにより、業界最高水準の出力密度を実現。
また、日立の創業製品でもあるモーターでは、これまで培ってきた材料開発技術や解析技術、静音化技術、生産技術をマグネット、電磁鋼板、巻線で構成される磁気回路などに生かすことで、トルク密度に於いて競争優位性を確立。
今後はさらに、これらの差別化技術をギアメーカーが有する先端技術と融合し、業界最高水準の効率性かつ、低振動・低騒音やモジュール設計によるコスト競争力に優れた電動アクスルを自動車メーカーに提供することで、モーター、ギアの最適制御ソフトウェアを含むシステムインテグレーションに強みを発揮していきたいとしている。
日立アステモでは現在、パワートレイン&セーフティシステム事業をはじめ、シャシー、モーターサイクル、ソフトウェア、アフターマーケット事業から成る戦略的なポートフォリオにより、事業強化と技術革新を推進。今後は、「グリーン」、「デジタル」、「イノベーション」を軸とした成長を目指し、排出ガスを低減する高効率な内燃機関システムと電動システムで環境に貢献、また、自動運転や先進運転支援システムや先進シャシーシステムで自動車の安全性・快適性を向上。先進的なモビリティソリューションの提供を通じて、持続可能な社会の実現と共に、顧客の企業価値の向上に貢献していくとしている。
[会社概要]
– 会社名:日立Astemo株式会社
– 本社:東京都千代田区大手町二丁目2番1号 新大手町ビル
– 事業内容:自動車部品および輸送用ならびに産業用機械器具・システムの開発、製造、販売およびサービス。