経産省と外務省は5月10日、インドに対し、同国が平成26年から実施しているICT(情報通信技術)製品を対象とした関税引上げ措置について、WTO協定に基づく協議を要請したと発表した。
WTO協定では、問題となっている措置がWTO協定に違反するか否かをWTOの小委員会(パネル。第一審に相当)に付託するに先立ち協議を行うよう義務づけており、合意による問題解決が奨励されている(WTO協定附属書二 紛争解決に係る規則及び手続に関する了解第4条)。
インドでは、メイク・イン・インディア政策推進のため、平成26年以降、ICT製品等を含め計9回の関税引上げを実施(うちICT製品については計6回)。
日本政府は、ICT製品についてはWTOでインドが約束している関税の上限を超えているものがあることから、関税及び貿易に関する一般協定(GATT)に違反する可能性があるとし、インドに対し、WTOの場や二国間協議において措置の撤回を繰り返し求めてきた。
しかし、問題解決に至らなかったため、今回、WTO協定に基づく協議要請を行ったとしている。
日本政府は今後、具体的な協議日程について、インドとの間で調整していく。
[協議要請の主な対象品目及び関税率]
<主な対象品目(インドのHS番号)、関税率>
①フィーチャーフォン(HS85171210)、0%→20%に引上げ
②スマートフォン(HS85171290)、0%→20%に引上げ
③携帯電話用基地局(HS85176100)、0%→20%に引上げ
④デジタルマイクロ波通信装置(HS85176290)、0%→20%に引上げ
⑤プリント回路基板アセンブリ(HS85177010)、0%→10%に引上げ
⑥スマートフォン用LCDモジュール(HS85177090)、0%→15%に引上げ
※いずれもインドのWTO譲許税率は0%となっている。