米国のゼネラルモーターズ(GM)は、20億ドルを投じて、テネシー州にあるスプリングヒル組立工場を電気自動車(EV)の生産拠点へ転換する。これにより、スプリングヒル工場は、ミシガン州デトロイト・ハムトラミックのファクトリー・ゼロ(Factory ZERO)、オリオンタウンシップにあるオリオン組立工場に続く、GMにとっての3番目のEV工場となる。
スプリングヒル工場では、新型EV「キャデラック リリック」の製造を皮切りに、「キャデラック XT6」および「キャデラック XT5」が生産される予定。また、従来のキャデラックの内燃機関車も生産していくと云う。
GMはまた、将来のクロスオーバーモデルやフルサイズピックアップトラックの生産に向け、ランシングのデルタ・タウンシップ組立工場やフリント組立工場など、ミシガン州内の5つの工場への投資も表明。米国内6施設への総投資額は合計20億ドル以上で、2009年以降、GMが米国の生産拠点に投資、あるいは投資を表明した総額は290億ドル以上となる。
<投資計画について>
・ラグジュアリーSUV「キャデラック リリック」を含む全電動自動車を生産するため、20億ドルを投じ、スプリングヒル工場の改修工事を直ちに開始する。これにより、工場内のペイント部門とボディショップを大幅拡張し、アッセンブリエリアには、新しい機械、コンベア、制御機器、工具などを導入し、全体的な刷新を図る。
・「GMC アカディア」の次世代モデルの生産を、ランシングのデルタ・タウンシップ組立工場に移行するため、1億ドル超を投資。米国およびカナダの市場で大きなシェアを獲得しているヘビーデューティーピックアップトラックの「シボレー シルバラード」および「GMC シエラ」を将来的に生産するための投資として、フリント組立工場に3,200万ドルを調達する。
・フルサイズピックアップトラックや新型「シボレー タホ」および「サバーバン」、「GMC ユーコン」および「ユーコンXL」、「キャデラック エスカレード」などの主要製品に搭載されているGM製10速トラック用トランスミッションのオートメーション化を強化し、生産能力を高めるため、ロムルスのパワートレイン工場に1,700万ドルを投資する。
・オリオン組立工場における「クルーズAV」のテスト用車両の追加生産に関連して、オリオン組立工場に350万ドル、さらにブラウンズタウン・チャーター・タウンシップのGM製造拠点に75万ドルを投資する。
今回の投資計画について、GMの会長兼CEOメアリー・バーラ氏は、以下のように話している。
「GMは、米国内における従業員や地域社会への投資に全力を注いでいます。これらの投資は、今日のGM車の成功と、全車電動化の未来へのビジョンを裏付けるものです」。
EVの生産設備導入のため、19カ月間で米国内3工場に45億ドル以上を投資
GMは今年1月、ファクトリー・ゼロ(デトロイト・ハムトラミックの組立工場)への22億ドルの投資を発表。工場では、2021年後半にピックアップトラック「GMCハマーEV」を、その後すぐに自動運転EV専用モデル「クルーズ オリジン」を生産する予定。この工場の完全稼働により、2,200人以上の雇用が創出できると云う。
また、新型EVピックアップトラックの発売に関連して、サプライヤー設備やその他のプロジェクトにも8億ドルを追加投資。昨年3月には、オリオン工場へ3億ドルを投資してシボレーブランドの新型EVを生産し、同工場で400人の新規雇用を生み出すと発表している。
なお、新型シボレーEVは、既存の「シボレー ボルトEV」のラインアップに加わるとともに、数々の賞を受賞した現在のボルトEVのアーキテクチャの最新版をベースにデザイン・設計される。
他にもGMは、LG化学と合弁会社Ultium Cellsを設立し、23億ドル以上を投じてオハイオ州ローズタウンに最先端のバッテリーセル工場を新設。この工場では1,100人以上の新規雇用が創出される見込みだ。