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2023年11月17日【テクノロジー】

独ポルシェ、本社工場を将来を見据えた未来拠点に

坂上 賢治

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独ポルシェAGは11月16日(シュトゥットガルト)、本社域内のツフェンハウゼン工場へ約2億5000万ユーロを投資。未来を見据えた大規模な設備追加・拡張工事など現時点のアップグレード状況を世界に向けて初披露した。

 

実際に、そこではパナメーラ及びカイエン用のV8内燃エンジンの新たな組立工場が建設されており、いずれは電動ポルシェ・マカン用の電気パワーユニットの組立もこの拠点に統合される。これにより新世代マカンの生産は、2024年から新工場が中核的役割を果たすようになる。

 

 

加えて目下拡張中となっている新鋭拠点では、ボクサーエンジンを搭載するモデルと、次世代EVとなる718型のスポーツカーが、同一の組立ラインで生産されることになるという。

 

同計画は既に始動済みで、2022年から車体工場内の物流エリアを順次拡張。ポルシェ博物館の向かいのポルシェプラッツにある旧ポルシェセンターの敷地にも、新しい建物が追加される。

 

そんな来たる2025年に完成予定とされる新工場の建屋部分は2つのフロアに跨がり、全自動化された部品倉庫から車体工場へ対象車両の部品がダイレクトに供給される仕組みへと変わる。

 

その部品保管庫は、およそ35,000立方メートルの規模で、収容量は約2000トンに達する。これはパレットとコンテナの保管スペース換算で実に40,650個に相当する。

 

 

こうした現況についてポルシェAGで生産・物流担当取締役を務めるアルブレヒト・ライモルト氏は、「我々とって911の60周年と、356 No.1ロードスターの75周年を迎えたこと。それは本当に特別なことでした。

 

そんな特別な今年、本社工場の再建措置と新たなスポーツカーの生産体制に係る拡張工事を行うことになったのですが、それはツッフェンハウゼン工場単体としても、我々の未来を俯瞰した特別なマイルストーンだと言えるでしょう。

 

また今回の生産拠点の転換及び拡張工事により、今後は、工場の生産効率性が大きく向上し、ものづくりの品質基準の底上げとなり、内燃エンジンを積む車両とBEV車両の混合生産も稼働可能になります。

 

これは次世代スポーツカー生産のためのスマートファクトリー計画という枠組みを超えて、ポルシェにとっての真に新たな章が始まることを意味します。また今後のクルマづくりは、未来を見据えて順次アップグレードされていく予定です。

 

 

そこには生産プロセスの進化が色濃く反映されます。例えばタイカンを生産する場合、次世代の最新鋭スポーツカーも同じ場所で生産されるようになり、電動マカンの電動パワートレインの組立も、既存のエンジン工場を改良し統合させます。

 

このように同一ライン上で異なる車両を混合生産する目的は、我々の生産プロセスの能力と柔軟性を飛躍的に高めるためです。またこうした生産工程の拡張には、車両品質の確保のためのテストベンチ、生産車両を送り出す物流エリアの改善など多岐に亘ります。

 

一方で新しい車両生産を想定したプロセスにも逸早く取り組み始めています。具体的には将来、生産を手掛けることになる2ドアスポーツカーの生産ライン枠も既に確保済みです。そこでは現在、電動ポルシェのタイカンの生産に導入されるのと同じく、無人搬送車(AGV/Automatic Guided Vehicle)も使用されることになります。

 

 

この最新世代のAGVは、従来の組立ラインと置き換えることにより、より柔軟な生産プロセスに応えられるようになります。特に単一ライン上で、内燃エンジン車と電動パワートレイン車を混合生産する場合に最も有益に働く仕組みとなってくれるでしょう。

 

そんな未来の生産工場では、車両組み立て時の品質管理手段も更に洗練します。例えば新しい組み立てプロセスには、新設の品質保証ステーションが既に統合して組み込まれています。組立ライン以降で求められる個々工程のチェック管理は、組立プロセスの終了時点ですぐさま始まります。そのための新たなライトトンネルも既に用意されています。

 

より下流の仕上げエリアでは、より明確なプロセス構成とアップグレードされたテスト手順が提供されるようになりました。これには、音響テストベンチを電気自動車の要件に適合させるなどの点検活動が含まれます。さらに、漏れ検査や表面検査のためのテストベンチも全面的に刷新されます」と説明した。

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坂上 賢治

NEXT MOBILITY&MOTOR CARS編集長。日刊自動車新聞を振り出しに自動車産業全域での取材活動を開始。同社の出版局へ移籍して以降は、コンシューマー向け媒体(発行45万部)を筆頭に、日本国内初の自動車環境ビジネス媒体・アフターマーケット事業の専門誌など多様な読者を対象とした創刊誌を手掛けた。独立後は、ビジネス戦略学やマーケティング分野で教鞭を執りつつ、自動車専門誌や一般誌の他、Web媒体などを介したジャーナリスト活動が30年半ば。2015年より自動車情報媒体のMOTOR CARS編集長、2017年より自動車ビジネス誌×WebメディアのNEXT MOBILITY 編集長。

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1975年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として国会担当を皮切りに自動車販売・部品産業など幅広く取材。その後、長野支局長、編集局総合デスク、自動車ビジネス誌MOBI21編集長、出版局長を経て2010年論説委員。2011年から特別編集委員。自動車産業を取り巻く経済展望、環境政策、自動運転等の次世代自動車技術を取材。2016年独立し自動車産業政策を中心に取材・執筆活動中。

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1975年日刊自動車新聞社入社。部品産業をはじめ、自動車販売など幅広く取材。また自動車リサイクル法成立時の電炉業界から解体現場までをルポ。その後、同社の広告営業、新聞販売、印刷部門を担当、2006年に中部支社長、2009年執行役員編集局長に就き、2013年から特別編集委員として輸送分野を担当。2018年春から独立、NEXT MOBILITY誌の編集顧問。

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日刊自動車新聞社で取材活動のスタートを切る。同紙記者を皮切りに社長室支社統括部長を経て、全石連発行の機関紙ぜんせきの取材記者としても活躍。自動車流通から交通インフラ、エネルギー分野に至る幅広い領域で実績を残す。2017年以降は、佃モビリティ総研を拠点に蓄積した取材人脈を糧に執筆活動を展開中。

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1970年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として自動車全分野を網羅して担当。2000年出版局長として「Mobi21」誌を創刊。取締役、常務、専務主筆・編集局長、代表取締役社長を歴任。2014年に独立し、佃モビリティ総研を開設。自動車関連著書に「トヨタの野望、日産の決断」(ダイヤモンド社)など。執筆活動に加え講演活動も。

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株式会社アーサメジャープロ エグゼクティブコンサルタント。PR/危機管理コミュニケーションコンサルタント、メディアトレーナー。自動車業界他の大手企業をクライアントに持つ。日産自動車、グローバルPR会社のフライシュマン・ヒラード・ジャパン、エデルマン・ジャパンを経て、2010年にアーサメジャープロを創業。東京大学理学部卒。

福田 俊之

1952年東京生まれ。産業専門紙記者、経済誌編集長を経て、99年に独立。自動車業界を中心に取材、執筆活動中。著書に「最強トヨタの自己改革」(角川書店)、共著に「トヨタ式仕事の教科書」(プレジデント社)、「スズキパワー現場のものづくり」(講談社ピーシー)など。