中国・現地時間の9月2日、99のタイトコーナーを持つ中国・天門山のつづら折りのEV最短走破記録に、フランス・アレス出身のロマン・デュマが挑戦し、7分38秒585の処女記録を打ち立てた。(坂上 賢治)
今回デュマがステアリングを握ったクルマは、フォルクスワーゲンAG(本社:ドイツ・ニーダーザクセン州ヴォルフスブルク、グループCEO:ヘルベルト・ディース)が自社技術の優位性をアピールするべく開発したEVプロトタイプの「ID.R」。
同車は、米国のパイクスピーク・インターナショナル・ヒルクライム(Pikes Peak International Hillclimb,PPIHC)や、ラインラント=プファルツ州アイフェル地方のニュルブルクリンクのノルトシュライフェ(北コース)でEV最短走破記録を保持しており、今回は電気自動車による天門山登頂を目指す一般公道で最速タイムを刻むこととなった。
このID.Rは、先のディーゼルゲート問題で毀損した自社のブランドイメージ刷新と、世界規模の環境車戦略で先行を許しているトヨタを筆頭とする日本車勢の伸張を削ぐため、起死回生策のリーディングイメージとしてあえての電動車戦略を体現しているもの。
中国の地に持ち込まれたID.Rは、500kW(680ps)を絞り出す2モーターを搭載。テーラーメイドのブリヂストンポテンザを履いて登場した。
舞台となった天門山はスタート地点から頂上の門を目指す10.906キロメートルの距離のなかで、半径6メートル以下のヘアピンカーブが99個続くというまさしくつづら折のハードコース。このコースをEVならではの加速力と、ハードブレーキの連続を経て先の通り7分38秒585で走りきった。
フランス人ドライバーでFIA世界耐久選手権やGT3などのスポーツカーレースなどで幅広く活動しているロマン・デュマは「ID.Rで当地のEV走破記録を樹立できたことを誇りに思います。
挑戦したコースは信じられないほど狭く曲がりくねっていましたが、エアロダイナミクスに優れた車体はトラクション性能も高く、電動車ならでは高トルクゆえにそのドライビングは本当に楽しいものになりました」と走行後のコメントとして語っていた。