フォルクスワーゲンは、Stratasys Ltd.(以下ストラタシス)の世界唯一のフルカラー・マルチマテリアル3Dプリンティング技術を導入し、プロトタイピング能力を強化するとともに、クルマの設計の新たな可能性を切り拓く狙いであることを、ストラタシス・ジャパン社が2020年12月3日発表した。
ストラタシスのPolyJet™技術ベースのJ850™ 3Dプリンタ2台を導入したことにより、フォルクスワーゲンPre-Series Centerはクルマのインテリア/エクステリア・アプリケーション向けの広範で極めてリアルなプロトタイピングを3Dプリンティングで行い、新たなクルマの設計でのさらなるイノベーション推進を可能とする。
フォルクスワーゲンは25年超にわたって3Dプリンティングを使用し、クルマの設計や製造の技術革新を実現してきた。同社によれば、今回の最新技術導入により、設計チームは最大99%の精度で最終製品を忠実に再現する複雑なマルチマテリアル・プロトタイプを製作できるようになり、同社の厳格な品質要件への適合が可能になった。こうした高いレベルのリアリズムにより、設計チームにとって試験が容易になり、パーツ設計全般の向上が実現する。
J850によりフォルクスワーゲンは硬度、柔軟性、不透明度、透明度などが異なる最大7種類の材料を使用し、1回のプリンティングでフルカラーのプロトタイプを製作できるようになった。これにより、従来のパーツ組み立てや塗装などの複数ステップの設計プロセスと比較し、時間とコストを大幅に低減できる。
フォルクスワーゲンPre-Series Centerチームはクルマのインテリア向けに、布から皮革、木材に至るまでの異なるテクスチャ表面のパーツを3Dプリンティングで製作している。さらに、先進的な透明材料であるVeroUltraClearの使用により、ガラスの透明度を再現することができる。こうしたクルマの特長を実物そっくりのモデルでシミュレーションすることにより、設計者は新しい設計を迅速かつ高コスト効率で試験し完成させ、自由な創造性を発揮できるようになる。
フォルクスワーゲンPre-Series Centerの責任者であるPeter Bartels氏は、「フォルクスワーゲンはお客様に喜んでいただき、誇りに思っていただけるクルマを開発するために、イノベーションを常にすべての中心に置いてきました。その達成のためには、創造性の発揮とクルマの設計の新標準確立を可能にする最新の最先端技術を設計チームに提供することが不可欠です。J850 3Dプリンタの導入により、私たちは3Dプリンティング活用の強化と設計プロセスのさらなる最適化が可能になりました」と述べた。
ストラタシスのEMEAプレジデントであるAndreas Langfeldは、「フォルクスワーゲンは長年のお客様であり、PolyJet 3Dプリンティングの価値を常に活用し、設計プロセスの技術革新のために技術の限界を打破してきました。J850は私たちの最も先進的なシステムであり、新次元の設計能力を実現し、競争力を獲得する方法を企業に提供します。私たちはフォルクスワーゲンの設計チームによる、この技術を使った創造的アプリケーションの開発を非常に楽しみにしています」と語った。