XTRONICは今後もOEMおよびサプライヤーとの関係構築に注力
自動車&産業機械サプライヤーの独・シェフラーAG(本社:ドイツ・ヘルツォーゲンアウラッハ、CEO:クラウス・ローゼンフェルド)は2019年5月3日、子会社のシェフラーテクノロジーズAG & Co. KGを介して、XTRONIC GmbH(XTRONIC社)の買収契約書に署名した。(坂上 賢治)
買収価格は非公開。ドイツ、ベーブリンゲンに拠点を構えるXTRONIC社の締結書面上の完全買収完了日は、2019年6月の見込みとしている。
このXTRONIC社は、今から20年前に設立された自動車メーカー向けのソフトウェアやエレクトロニクスソリューションを開発する技術企業。オーナー企業である同社は、先の本社拠点のベーブリンゲンの他、ウォルフスブルクの拠点を併せて約170人の従業員を雇用。
自動車分野では、自動運転アプリケーションや電動モビリティ、機能安全性を含むサービスとソリューション。さらにはメソッド、ツール、試験装置を提供してきた。
そんな同社の最も著名な事案は、Paravanと連携して開発したドライブバイワイヤー技術の「Space Drive」などがある。
このためシェフラー側は、次世代のステアリングシステムを含む自動運転技術で自社事業の拡大に際して大きな貢献をしてくれるものと期待を寄せている。
今買収により、シェフラーのシャシー&電動事業で成長の可能性が広がる
今後、XTRONIC社は有限会社(GmbH)であるシェフラーグループに統合されるが、事業の運営管理自体は、長らく同社内でマネージングディレクターを務め、同社の共同所有者でもあるダニエル・シュミット氏が率いていく。
またXTRONIC社は、今後もシェフラー以外の顧客との関係を温め続ける一方で、シェフラーグループの一員としての役割も、今後のソフトウエア開発も含めて果たしていく構えだという。
そのダニエル・シュミット氏は、今回のシェフラーとの合意について「長年成長し続けてきた今、事業をさらに前進させ、現在の地位をさらに拡大させるためにはシェフラーとのパートナーシップは当社としては最適な環境だと思います。
シェフラーの製品化に係る専門知識と、ものづくりに於けるノウハウと資金力は、将来に向けて事業拡大を果たしていく上で、我々に新たなチャンスをもたらします。
そもそも両社には、互いにイノベーションを育む強固な文化があるため、親密な技術パートナーとして、顧客の最善の利益に叶う道を模索していくこと。そのための研究開発の基盤を育てていくこと。最新プロセスを背景にこれからのものづぐりを発展させていくため、互いに最良・最適な投資を継続的に行っていけることでしょう」と述べている。
一方シェフラーで自動車事業部のOEM部門を担うマティアス・ジンクCEOは「昨年のParavanからの『Space Drive』技術の取得、Elmotec Statomatの買収に続くXTRONICの買収は、当社の長期的な事業戦略を進めていく上で必然の一歩であり、当社のM&A戦略に叶うものです。
当社にとってソフトウェアおよびエレクトロニクス能力の強化は『未来のモビリティ社会のため』のメカトロニックソリューション開発に不可欠なピースのひとつです。
今回の買収により、我々は将来性の高い事業分野で大きな成長性が約束されたといえるでしょう。なかでも特に利益を受けるのは、シャシーシステムおよび電動モビリティ事業部門となるでしょう」と結んでいる。