独の抵抗器メーカー、イザベレンヒュッテの日本法人は、国際二次電池展(2月27日〜3月1日・東京ビッグサイト)にて、欧州自動車メーカーの多くが採用し、EVシフトをはじめとする車両の電動化に幅広く対応する高精度のシャント抵抗器を出展した。
シャント抵抗器とは、回路を流れる電流を検出するための抵抗器のことで、様々なエレクトロニクス製品に活用されているもの。
自動車部品においても、インバータやコンバータ、モータやバッテリー、EPS(電動パワーステアリング)、パワーウインドウなど、現在多くの部品が電動化されており、各部品の電流量を測定し、電力低下や過電流などのチェックを行うため、従来からシャント抵抗器は様々な部品に導入されている。
イザベレンヒュッテは、そういったシャント抵抗器や電流センサを製造するドイツのメーカーだ。創業540年もの歴史を誇る同社は、長年培ったノウハウを生かし、欧州の自動車メーカーや部品メーカーのほとんどに部品を納入。また、近年は日本や中国などの自動車関連メーカーとも取引を広げている。
特に、全世界的なEVシフトの潮流がある昨今では、同社が製造する製品の高い信頼性などは、多くの注目を集めているといえる。
そのような同社の日本法人と、製品の国内販売を手掛けるピーシーエヌが合同で出展したのが今回の展示会。
ブースには、まず優れた温度特性と長期安定性を実現する「ISA-WELD®」のバスバー実装タイプのシャント抵抗器を展示。
主な特長は、自社溶解の抵抗材料「Manganin®」を使用、抵抗値0.035~1mΩ、抵抗値許容差5%、抵抗温度係数(TCR):<50ppm/K、定格電力3〜30Wなど。
特に、抵抗材料として使用しているManganin®には、材料の配合などに同社独自のノウハウがあり、それにより高い精度を実現している。
一方、小型ながら大電流測定に対応するSMDタイプも展示。こちらも車載用途に最適なシャント抵抗器だ。
同タイプには2シリーズがあり、まず「ISA-WELD®」のSMDタイプは、板状の抵抗合金(Manganin®、Zeranin®、Isaohm®、Noventin®)と銅を電子ビーム溶接した複合材料で構成。打ち抜き・整形加工により様々な形状や用途に適応する。
抵抗値0.1〜6.8mΩ、抵抗値許容差1%、5%、抵抗温度係数(TCR):<20〜50ppm/K、定格電力1.5〜15W。
一方、コンパクトながら高い対パルス負荷容量を実現した「ISA-PLAN®」シリーズ。
抵抗材料にはエッチングされた泊状の抵抗合金(Manganin®、Zeranin®)を使用し、ベース基板に熱伝導率が高い銅・アルミを採用し、抵抗材とベース基板は絶縁性接着剤で真空接着を施す。
抵抗値5mΩ〜4Ω、抵抗値許容差0.5%、1%、5%、抵抗温度係数(TCR):<20〜50ppm/K、定格電力: 0.5〜5W。
EVシフトの大きな潮流がおし寄せる自動車業界において、それをビジネスチャンスと捉えている同社。今後、同社製品が国内市場のシェアをどう拡大していくか興味深い。