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2020年10月26日【テクノロジー】

組込メモリーのフローディア、帝人等から12億円の資金調達

NEXT MOBILITY編集部

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組込メモリー開発メーカーのフローディアは10⽉26⽇、シリーズC投資ラウンドにて帝人などから約12億円の資⾦調達を行ったことを発表した。同社はこの資⾦を活⽤して、既存の組込メモリー事業を拡⼤していくと共に、新たにエッジコンピューティング側のAI演算に向け、単位消費電⼒あたりの演算能⼒が圧倒的に⾼い半導体デバイスを開発を加速させていくとしている。

 

 

 

 

今回の資⾦調達では、帝⼈がリード投資家となり、東京エレクトロンの100%⼦会社であるTEL Venture Capital Inc.と共に、第1回クロージングにて合計5.3億円の第三者割当増資を引き受けた。また第2回クロージングにおいては、みやこキャピタル、丸紅ベンチャーズ、NECキャピタルソリューション、IDATEN Venturesが、合計5.1億円の第三者割当増資を引き受けている。さらに⽇本政策⾦融公庫も1.8億円の融資を実⾏している。

 

 

同社はこれまでに、INCJや⼤⼿ファウンドリUMC傘下のUMC Capital(台湾)、最先端半導体の設計会社であるFaraday Technology(台湾)等から約24億円の資⾦調達を⾏っており、今回の資⾦調達によって累計資⾦調達⾦額は約36億円になる。

 

 

フローディアは、ルネサスエレクトロニクス出⾝の技術者が2011年に設⽴したベンチャー企業。マイコン、パワー半導体、センサー等に使われる、組込み型の不揮発性(電源を切っても記憶内容を維持する)メモリー製造に必要な⼯程や回路設計を、知的財産(IP)として半導体メーカーにライセンス提供する事業を展開している。

 

 

同社の不揮発性メモリー技術は、データの書込み・消去にFNトンネル現象を使うため、ホットキャリアを利⽤する競合他社の技術と⽐べて、メモリーセル1つあたりの書込み・消去に使う電⼒が100万分の1と極めて極めて低い。さらに耐熱性に優れ、チップへの集積に必要な追加コストを1/3程度にまで低減できるといった特徴を持つ。
こうした点からすでに⾞載⽤のマイコンに搭載されている他、東芝のマイコンに採⽤されるなど実績が積み上がっている。また、台湾のファウンドリ(半導体製造企業)にも採⽤され、すでにこのファウンドリが製造するスマホ⽤部品の組込メモリーとして利⽤中だ。

 

 

また、同社の不揮発性メモリーは、既存の製造プロセスを利⽤しながら、他の回路や設計資産に影響を与えずにチップに集積できるという点も大きな特徴。
5Gスマホやスマートウォッチ、ワイヤレスイヤホン、各種IoT機器などの開発において、回路の集積度の向上と消費電⼒の低減は、これまで以上に重要になるとされる中、これまで別々のチップに集積していたデジタル回路とアナログ回路を、同⼀チップに混載するといったことが求められている。同社は、デジタル―アナログ混載チップの製造プロセスとして今後主⼒となる130nm BCD plus(Bipolar・CMOS・DMOS 混載)のプラットフォームに不揮発性メモリー技術を搭載すべく、主要ファウンドリと協業を進めており、2021年初頭からの⼤量⽣産に繋げるよう計画中とのことだ。

 

 

そして、今後開発を加速させていくとした単位消費電⼒あたりの演算能⼒が圧倒的に⾼い半導体デバイスについては、同半導体デバイスが実用化されれば、AI演算時の消費電⼒を⼤幅に抑えることが可能になり、現在はクラウドを利⽤しなければ実現できない⾼度なAI演算を、エッジ側で⾏うことが可能になるとしている。

 

 

現在、⾼度なAIの演算は主にデータセンター等クラウド側にある⼤規模サーバー群で⾏われているが、クラウドでのAI演算は、膨⼤な電⼒を要する事やデータセキュリティの点での課題が指摘されている。⼀⽅、⾃動運転⾞やドローンなど、リアルタイム性が必要な⽤途では、クラウドに依存せずにエッジ側でAI演算を⾏うことが必須とされている。同社の半導体デバイスの開発はこれらの課題に応えるものとなることが期待される。

 

 

■フローディア:floadia.com/jp

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坂上 賢治

NEXT MOBILITY&MOTOR CARS編集長。日刊自動車新聞を振り出しに自動車産業全域での取材活動を開始。同社の出版局へ移籍して以降は、コンシューマー向け媒体(発行45万部)を筆頭に、日本国内初の自動車環境ビジネス媒体・アフターマーケット事業の専門誌など多様な読者を対象とした創刊誌を手掛けた。独立後は、ビジネス戦略学やマーケティング分野で教鞭を執りつつ、自動車専門誌や一般誌の他、Web媒体などを介したジャーナリスト活動が30年半ば。2015年より自動車情報媒体のMOTOR CARS編集長、2017年より自動車ビジネス誌×WebメディアのNEXT MOBILITY 編集長。

松下次男

1975年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として国会担当を皮切りに自動車販売・部品産業など幅広く取材。その後、長野支局長、編集局総合デスク、自動車ビジネス誌MOBI21編集長、出版局長を経て2010年論説委員。2011年から特別編集委員。自動車産業を取り巻く経済展望、環境政策、自動運転等の次世代自動車技術を取材。2016年独立し自動車産業政策を中心に取材・執筆活動中。

間宮 潔

1975年日刊自動車新聞社入社。部品産業をはじめ、自動車販売など幅広く取材。また自動車リサイクル法成立時の電炉業界から解体現場までをルポ。その後、同社の広告営業、新聞販売、印刷部門を担当、2006年に中部支社長、2009年執行役員編集局長に就き、2013年から特別編集委員として輸送分野を担当。2018年春から独立、NEXT MOBILITY誌の編集顧問。

片山 雅美

日刊自動車新聞社で取材活動のスタートを切る。同紙記者を皮切りに社長室支社統括部長を経て、全石連発行の機関紙ぜんせきの取材記者としても活躍。自動車流通から交通インフラ、エネルギー分野に至る幅広い領域で実績を残す。2017年以降は、佃モビリティ総研を拠点に蓄積した取材人脈を糧に執筆活動を展開中。

中島みなみ

(中島南事務所/東京都文京区)1963年・愛知県生まれ。新聞、週刊誌、総合月刊誌記者(月刊文藝春秋)を経て独立。規制改革や行政システムを視点とした社会問題を取材テーマとするジャーナリスト。

山田清志

経済誌「財界」で自動車、エネルギー、化学、紙パルプ産業の専任記者を皮切りに報道分野に進出。2000年からは産業界・官界・財界での豊富な人脈を基に経済ジャーナリストとして国内外の経済誌で執筆。近年はビジネス誌、オピニオン誌、経済団体誌、Web媒体等、多様な産業を股に掛けて活動中。

佃 義夫

1970年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として自動車全分野を網羅して担当。2000年出版局長として「Mobi21」誌を創刊。取締役、常務、専務主筆・編集局長、代表取締役社長を歴任。2014年に独立し、佃モビリティ総研を開設。自動車関連著書に「トヨタの野望、日産の決断」(ダイヤモンド社)など。執筆活動に加え講演活動も。

熊澤啓三

株式会社アーサメジャープロ エグゼクティブコンサルタント。PR/危機管理コミュニケーションコンサルタント、メディアトレーナー。自動車業界他の大手企業をクライアントに持つ。日産自動車、グローバルPR会社のフライシュマン・ヒラード・ジャパン、エデルマン・ジャパンを経て、2010年にアーサメジャープロを創業。東京大学理学部卒。

福田 俊之

1952年東京生まれ。産業専門紙記者、経済誌編集長を経て、99年に独立。自動車業界を中心に取材、執筆活動中。著書に「最強トヨタの自己改革」(角川書店)、共著に「トヨタ式仕事の教科書」(プレジデント社)、「スズキパワー現場のものづくり」(講談社ピーシー)など。