富士通セミコンダクターは、シリアルインターフェースの最大メモリ容量となる4MビットFRAM(注1)「MB85RS4MT」を開発し、9月から量産品を提供する。
MB85RS4MTは、エッジコンピューティングの拡大、センサー情報のデータ量の増大という環境の変化により、既存のEEPROMを使用している顧客からの「書換え回数を増やしたい」、「書換え時間を短くしたい」、「メモリ容量を増やしたい」という要求に応え開発。
ドライブレコーダ/運行レコーダ、ロボット、工作機械、計測装置、メーター、民生機器などリアルタイムでの頻繁なデータログが必要とされるあらゆるアプリケーションに最適だとしている。
同製品の書換え保証回数は、同じ不揮発性メモリのEEPROMと比較して約1,000万倍の10兆回。書換え回数が、設計のボトルネックにならないため(図1)、エッジコンピューティングにおけるセンサー情報を、頻繁に記録するためのメモリとして最適だとしている。
また、データの書込みに関して、EEPROMやフラッシュメモリでは、書込み時間に加えてセクターの消去時間が必要になるが、FRAMでは、消去せずに上書きを行うため高速。データ書込み中に瞬断などの電圧低下が発生した場合でも、FRAMは書込み中のデータの保護ができる(図2)とのことだ。
さらに、同FRAMの動作電圧は、1.8Vから3.6Vまでのワイドレンジとなっており、メモリ周辺の電子部品が1.8V、または3.6V動作品のどちらにも対応。動作電流は、1MHz動作時が最大250μA、スタンバイ電流は最大50μAとなる。
パッケージは、既存のEEPROMと置き換え可能な8ピンSOP。製品の設計を大幅に変更することなく、同新製品への切り替えができるとのことだ。
富士通セミコンダクターでは、今回発表のFRAMの他、今年4月に「-55℃動作のFRAM」、6月に「8MビットパラレルFRAM」を市場に投入している。
[主な仕様]
製品名:MB85RS4MT
容量(メモリ構成):4Mビット(512K x 8ビット)
インターフェース:SPI(シリアル・ペリフェラル・インターフェース)
動作周波数:最大40MHz
動作電源電圧:1.8V~3.6V
動作温度範囲:-40℃~+85℃
書込み/読出し保証回数:10兆回(1013 回)
パッケージ:8ピンSOP
注1) FRAM(Ferroelectric Random Access Memory):
強誘電体メモリ。強誘電体膜をデータ保持のキャパシタに利用したメモリ。電源を切っても内容を保持する。データの高速な書込み動作、低消費電力、書換え回数が多いといったROMとRAMの長所をあわせ持つ。FeRAMとも呼ばれる。富士通セミコンダクターでは、1999年より量産開始。