自動車部品メーカーの仏・フォルシア(Faurecia)は7月3日、カナダのスタートアップ企業「イリステック・ソフトウェア(IRYStec Software)」の買収を発表した。このイリステックは、知覚と生理学を利用してディスプレイシステムのユーザー体験を最適化するソフトウェアプラットフォームを世界で初めて開発した企業だ。(坂上 賢治)
このイリステックが開発したソフトウェアプラットフォームを、フォルシアが取り入れることによってインストルメントパネル上で新たなユーザー体験を提供できるようになる。具体的にはドライバーの視覚と環境光に応じて、ディスプレイをパーソナル化することができ、この結果、より安全で快適なユーザー体験を低コストで実現できる。
同技術は種類やサイズを問わずあらゆるディスプレイに応用でき、明るさとコントラストの知覚が最大30%向上するほか、最大30%のエネルギー効率化と加熱の低減が実現する。なおフォルシアによると、このイリステックの技術を活用した新たなディスプレイは、今年後半に高級市販車に搭載される予定だという。
今回の買収についてフォルシア クラリオン エレクトロニクスのジャン=ポール・ミッシェル エグゼクティブバイスプレジデントは「当社が構想するコネクテッドで臨場感のある〝コックピット・オブ・ザ・フューチャー〟のビジョンに於いて、イリステックが提案する画期的なソリューションは当社のディスプレイ技術に独自のアピールポイントをもたらしてくれます。
イリステックの優れた技術的専門知識と有能な人材が加われば、当社は高度なカスタマイズが可能な先進的なディスプレイソリューションを提案できるようになるはずです」と話している。
一方、イリステック・ソフトウェア創業者のタラ・アカヴァン氏は「フォルシアとの統合は、イリステックにとって大きな節目となります。これを機に、当社の主力であるインテリジェントディスプレイ向けの革新的ソリューションの開発を、車載テクノロジーの世界的リーダー企業の一部門として進められるようになるからです。
フォルシアの革新ロードマップには非常に感銘を受けています。独自のコックピットユーザー体験の実現を目指し、次世代製品を共に開発していくことを楽しみにしております」と結んでいる。