セイコーエプソン(以下 エプソン)および子会社のエプソンクロスインベストメントは5月25日、対象物の距離や瞬間速度を計測するICチップ型LiDAR(Light Detection And Ranging)モジュールを開発・販売するスタートアップ企業のSiLC Technologies, Inc.(シルク・テクノロジー)へ出資したと発表した。この出資は、両社が出資するEP-GB投資事業有限責任組合を通じて実施される。
シルク・テクノロジーは2018年に設立された、シリコンフォトニクス技術を活用したICチップ型LiDARを開発するスタートアップ企業。
LiDARは、レーザー光を対象物に照射し、その反射光を観測することで、対象物までの距離やその瞬間速度などを計測できる技術で、自動運転やADAS(Advanced Driver Assistance System 先進運転支援システム)などへの適応が期待されている。
特にFMCW(Frequency Modulated Continuous Wave)方式を採用しているLiDARは、従来のToF(Time of Flight)方式に比べ、計測距離と消費電力の点で優れるとされているが、シルク・テクノロジーのICチップ型LiDARは、このFMCW方式を採用したもの。
センサー性能、ICチップ統合技術、製造ノウハウの面で高い競合優位性を誇るという。今後、監視カメラ、産業ロボット、自動運転やADAS、AR/VR用のコンシューマーデバイスといった幅広い産業での活用が期待されるところだ。
エプソンでは、自社で保有している人や物の運動状態や姿勢・位置情報を測定するセンサーと、シルク・テクノロジーの有するLiDAR技術との相互補完によって、自動車産業やロボット産業における顧客価値向上を目指していく。同時にさまざまなコア技術とのシナジーによる新たな活用領域についても模索していきたいとしている。