エネルギーテック企業のエネチェンジ(ENECHANGE)は、9月12日、中古リチウムイオン電池のバッテリーマネジメントシステム技術を有し、英国で事業を展開している英国スタートアップ企業のブリルパワー(BrillPower)と事業提携を締結したことを発表。
これにより、同社はブリルパワーが持つバッテリーマネジメントシステム(以下、BMS)に関する日本市場での排他的な事業展開権を一定期間保有することで、日本でのブリルパワーの事業機会を支援することを明らかにした。
EV(電気自動車)の普及により近年注目が集まっているのがリチウムイオン電池の再利用だ。
経済産業省では7月、EVに搭載されたリチウムイオン電池の残存性能を評価するためのガイドラインを年内に策定するという指針を発表するとともに、使用済み電池を再利用できる市場を整備する検討に入る等、国をはじめ各界で具体的な動きが出ている。
そんな中、今回エネチェンジが業務提携をした英・ブリルパワーが提供する蓄電池のBMSは、独自の制御技術によって中古リチウムイオン電池の寿命を最大60%伸ばすとともに、充電容量(Wh)を最大46%向上させることを可能とするもの。
そもそも中古リチウムイオン電池には、複数セルで構成されている場合には劣化したセル単体の性能に全体のパフォーマンスが依存するという性質がある。
そのため充電後の充電率も、劣化したセルの最大値に引きずられてしまい、すべてのセルに充電されず、全体の充電容量が減少するという課題があった。
その課題に対しブリルパワーは、独自のBMSを用い、特許出願も行ったセルバランス技術を開発。
これにより、各セルの充電率や劣化度などを監視しつつ均一に放電することが可能となり、その結果、充電も均一に行われるため、リチウムイオン電池を無駄なく最後まで使用することを実現している。
ブリルパワーのBMSを用いた中古リチウムイオン電池には今後、製品価値の向上とコスト削減効果、加えて長寿命化、高性能化等が期待できるようになる。
また、これらにより、将来的に低コストな据置型蓄電池の誕生やEV価格の低減等の効果も予想されるため、中古リチウムイオン電池のエコシステムの向上も期待できる。
世界的なEV化の波をはじめ、近年の自動車開発の重要なキーワードのひとつがリチウムイオン電池であることは明らかなだけに、今後の動向に注目したい。