エネオス(ENEOS)は4月23日、電子機器周辺材料で代表的なエポキシ樹脂(※1)の原料となる脂環式エポキシモノマー「EPOCHALIC(エポカリック)」について、新たな分子構造の商品を世界で初めて商用化し、販売を開始したと発表した。
近年、次世代通信技術の発展により、半導体部品では小型化が進む一方で通信量が増加し、より高速な処理を求められていることから、その電子機器周辺の発熱量が大きくなっている。そのため、電子機器に使用される樹脂には、高温下で使用する際に機能を正常に維持することが不可欠であり、これまで以上に高い耐熱性・強度が必要とされている。
「エポカリック」は、エネオス独自の技術で世界トップクラスのシェアを誇る、自動車部材向け合成ゴム添加剤用途のENB(※2)事業で培ったノウハウを活用した分子設計(※3)を、エポキシ樹脂の製造に用いることで、高い耐熱性と強度をもたらすことを可能とした新構造の脂環式エポキシモノマー。流動性に優れる「DE-102」と、耐熱性の向上効果が大きい「DE-103」の2種類のラインナップにより、幅広い顧客ニーズに対応する。
<商品ラインナップおよび特長>
エネオスグループでは、2040年長期ビジョンにおいて、機能材事業を技術力の発展的強化を図る成長事業として位置付けている。
エネオスは、今後も社会の発展につながる革新的な製品の提供を通じて、国連「SDGs(持続可能な開発目標)」の目標9「産業と技術革新の基盤をつくろう」のゴールである、「強靱なインフラ構築、包摂的かつ持続可能な産業化の促進及びイノベーションの推進を図る」ことに貢献していくとしている。
※1)エポキシ樹脂:高い電気絶縁性や耐水性、耐薬品性を持つ熱硬化性樹脂で、電子機器周辺材料(コーティング剤など)や接着剤などの原料として、幅広く使用される。また、様々なエポキシモノマーや硬化剤・充填材・添加剤を用いて製造することにより、それぞれの用途に適した機能を付加することが知られている。
※2)ENB:エチリデン・ノルボルネン。自動車の窓枠やラジエターホースのほか工業用、建築用などに広く使用される合成ゴムであるEPDM(エチレン・プロピレン・ジエン・メチレンリンケージ)の製造に欠かせない成分。
※3)脂環式エポキシモノマー「EPOCHALIC(エポカリック)」の分子構造:脂環の連結とかご型骨格の分子構造により、高い耐熱性と強度(高剛性)をエポキシ樹脂にもたらす。
■(ENEOS)有機合成技術:https://www.eneos.co.jp/company/rd/intro/function/synthesis.html