エネオスは5月11日、JSRと、合成ゴムの製造・販売を含むJSRのエラストマー事業を買収することについて、契約を締結した。
JSRのエラストマー事業は、業界最高水準の性能を保有するタイヤ素材であり、低燃費・高性能タイヤのトレッド(路面との接地面)の原材料として欠かせないSSBR(溶液重合スチレン・ブタジエンゴム)を主力製品として、モビリティ産業に不可欠であると共に環境負荷低減に貢献する素材を提供している。
世界的なモビリティ需要の拡大に加え、タイヤは動力源や形態の変化に関わらず必要と見込まれることから、同事業は今後も確実に成長が期待できる分野である。また、モビリティにおけるCASE(コネクテッド・自動運転・シェアリング・電動化)の進展に伴い、今後タイヤにはさらに高い水準で安全性と経済性の両立が求められる。
エネオスは、エネオスが有するエラストマー原材料の研究開発技術とJSRが長年培ってきた合成ゴム変性技術を融合させることにより、そうしたニーズに応える製品の提供が可能になるとしている。
今後、JSRは新会社を設立し、会社分割によりエラストマー事業および同事業に係る子会社・関係会社株式を新会社に承継し、その後、2022年4月を目途に、エネオスは当該新会社の全株式を取得し、完全子会社化する。
最終的な株式取得価額は、第三者評価を参考に合意した1,150億円をベースに各種価値調整を踏まえた実質的な買収価格(企業価値)から、買収完了時点の純有利子負債、運転資本、その他資産・負債等を考慮し確定する。
なお、エネオスは、JSRが決定している原料・物流コストの合理化等のコスト削減や販売価格の適正化をはじめとした構造改革を同社が実施し、約60億円規模のコスト削減が完了することを前提に買収を実行する。