星光PMC株式会社が開発したCNF複合材料「STARCEL®」が2019年9月12日、優れた環境配慮が組み込まれた製品や技術を表彰する「第2回エコプロアワード」で奨励賞を受賞した。エコプロアワードとは一般社団法人産業環境管理協会による国内環境貢献製品の開発・普及を図ることを目的に2004年度創設された賞典である。(坂上 賢治)
今回のSTARCEL®は、NEDO(理事長:石塚博昭)のセルロースナノファイバー(CNF)複合材料開発プロジェクトの成果をもとに、京都大学を主体とする産学連携グループが開発したCNF補強の樹脂材料とその製造プロセス「京都プロセス」を活用し、星光PMCが2018年1月に商業生産を開始したCNF複合材料。
セルロースナノファイバー(CNF)は、持続型木質バイオマス資源由来の軽量、高強度、低熱膨張なナノ繊維で、樹脂補強繊維としての利用が期待されている。
そこで国立研究開発法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)では、2010年度にCNF補強の樹脂材料とその製造プロセスの開発を行う研究開発事業を立ち上げた。
上記の研究開発事業とは、グリーン・サステイナブルケミカルプロセス基盤技術開発/セルロースナノファイバー強化による自動車用高機能化グリーン部材の研究開発期間事業を指す。
開発期間は2010年度~2012年度に掛けて行われ、国立大学法人京都大学、地方独立行政法人京都市産業技術研究所、王子ホールディングス株式会社、三菱ケミカル株式会社、DIC株式会社、星光PMC株式会社などが参加した。
その中で、国立大学法人京都大学を主体とする産学連携グループが、CNF補強の樹脂材料の開発と、木材パルプに化学処理を施した変性セルロースを樹脂と混練し、同時にナノ解繊(パルプを機械的手法でセルロースナノファイバーのレベルにまでほぐすことを指す)する製造プロセス(京都プロセス:原料である木材や竹などの木質バイオマスからリグノパルプを製造。
それを化学処理後に樹脂と溶融混練し、高耐熱CNF強化樹脂材料を連続的に製造するプロセスを指す。
これにより化学変性リグノパルプが溶融混練時にナノ化し樹脂中に均一に分散することで、高性能のプラスチック材料を効率的に製造できる)の開発に取り組んだ。
この研究開発の成果をもとに星光PMC株式会社が独自に改良を重ね、CNF複合材料の製品化に成功。STARCEL®として2018年1月から商業生産を開始している。
この「STARCEL®」を筆頭とするCNF複合材料は先行開発・実用化が進むスポーツ分野に於ける用品開発だけでなく、自動車や家電、建材など多角的な活用展開が期待されている。
NEDOでは、CNFの一貫製造プロセスの開発を引き続き推進し、今後これらの分野への社会実装に向けた取り組みを進めていく構えだ。