ドイツのエレクトロビット(EB)は11月24日(ドイツ・エアランゲン現地時間)、HPC(高性能コンピューティング)を基盤とする次世代カーエレクトロニクスアーキテクチャの開発をさらに加速する、業界初のソフトウェアプラットフォーム、EB xelor(ゼラー)を発表した。EB xelorは、コネクテッドカーやインテリジェントカーに向けて、セキュアで安定性が高く、容易にアップグレード可能なソフトウェア基盤。自動車メーカーや部品メーカーは、EB xelorを活用することで、車両インフラストラクチャの開発よりも、車両を差別化する特性や機能の開発に注力、イノベーションや収益性に集中することができるとしている。
EB xelorは、エレクトロビットの量産実績のあるソフトウェアとオープンソースあるいはサードパーティによるソフトウェア、そしてHPC環境に不可欠ではあっても、車両を差別化できないツールやサービスを統合する。EB xelorを活用すると、自動車メーカーや部品メーカーは、これらの確保や統合に要する時間やリソース、メンバー数を削減できる。HPCアーキテクチャ向けのソフトウェア開発プロジェクトにおける自動車メーカーとの経験値から、少なくとも30%のエンジニアリングコストを削減することができるという。
EB xelorは、Linuxに準拠した高性能の機能安全ソフトウェアスタックとClassic AUTOSARに準拠したリアルタイムでセーフティソフトウェアスタックであるハイパーバイザーのEB tresos、HPCアップデートとプラットフォームのヘルス管理機能ソフトウェアを統合したもの。ビルドの自動化と統合の促進を行うツールやサービスも含まれている。EB xelorプラットフォームは、NXPやRenesasの有数のSoC(システムオンチップ)デバイスを使い、HPC環境向けに最適化されている。自動車メーカーは、自社の車両特有のソフトウェアをこれらのスタックに追加できる。
エレクトロビットのCTO(最高技術責任者)であるMaria Anhalt氏は以下のように述べている。
「自動車業界は大きなパラダイムシフトを迎えています。自動車メーカー各社は、ますます複雑化するカーエレクトロニクスのエンジニアリングシステムにいかに対応するべきかという課題に取り組んでいます。メーカー各社は、自社の車両アーキテクチャを効果的に『刷新』して、リソースや予算を最適に配分しながら非分化ソフトウェアの調達と統合に全力を尽くす必要に迫られています。エレクトロビットは、自動車メーカーの課題を解決するため、数十年に渡る専門知識をEB xelorに集結させました。メーカーは、量産実績があり、事前に統合されたソフトウェアを活用することで、開発プロセスを即座に開始させることができます。」
EB xelorは新製品ではあるが、現在路上を走っている車両に使用されているソフトウェア技術が基盤となっている。
その点については、調査会社ストラテジー・アナリティクス(Strategy Analytics)の Global Automotive Practice副社長Ian Riches氏も「エレクトロビットは、この度EB xelorという、プラットフォームを構成する複雑な要素を全て統合したソフトウェアを市場に初めて導入しました」と語った。また「自動車メーカーや部品メーカー 各社が実現しようとしていたことを、エレクトロビットは実装済かつ量産実績のあるソフトウェアとして提供しています。EB xelorのようなプラットフォームを採用すると、メーカーは開発工程におけるリソースを削減して、量産化を加速させることができるでしょう。」とコメントしている。