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2021年11月15日【IoT】

ドコモ、柏の葉キャンパスで5.9GHz車車間通信環境の実証へ

坂上 賢治

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テストコース全体像/出典、国土地理院撮影の空中写真(2019年撮影)を加工・作成

 

自動運転社会実現に向け、セルラーV2Xの電波伝搬・通信品質特性の検証を開始

 

NTTドコモ(以下、ドコモ)は、千葉県で5.9GHz帯に対応したセルラーV2X(Vehicle to Everything)の実証実験環境を開始する。提供期間は2021年11月15日から2月28日まで。近年、5.9GHz帯セルラーV2Xは、米国・中国・欧州でITS専用として割り当てられ世界規模で自動運転環境としての実用化が進んでいる。(坂上 賢治)

 

そこでこうした流れを踏まえ、5.9GHz帯に対応したセルラーV2Xを活用可能な実証実験環境を千葉県柏市・柏の葉キャンパス駅周辺に整備。これを自動運転システムの研究開発を行う企業や団体へ提供する。同時にドコモは、セルラーV2Xの電波伝搬特性、通信品質特性の検証、セルラーV2Xの特性を活生かした広域情報と連携したサービスなどの実証実験も併せて進めて行く。

 

 

セルラーV2Xの具体的な環境は、先の通りITSの専用周波数帯として世界的に議論が進められている5.9GHz帯に対応したセルラーV2Xを搭載した通信システムを提供していく他、交差点や信号機・遮蔽(しゃへい)物を備えた広大なテストコース、および柏の葉キャンパス駅周辺の自動運転用三次元地図データなどを提供するもの。

 

またドコモは同環境の提供と同時に、自動運転社会実現に向けた研究開発を行う自動車部品メーカーのコンチネンタル・オートモーティブ・ヴァレオジャパンと協力。

 

さらに自動運転技術の研究・開発に取り組む国立大学法人東海国立大学機構名古屋大学・国立大学法人東京大学・学校法人同志社大学・自動運転社会のインフラ環境整備に向けた開発を行う日本信号・古河電気工業なども参加。併せて柏市や関連省庁及び民間企業などでつくる柏ITS推進協議会の協力を得つつ実証実験を行って行くとしている。

 

上記の公道エリア全体図の右上に位置するテストコースに係る詳細写真

 

ドコモはこうした実証実験への参画企業や団体の協力を得て、各者が実証実験を行う車両や車両周辺のアプリケーション、および各種機器間を接続した際に得られるセルラーV2Xによる通信データを利活用。電波伝搬特性や通信品質特性など、セルラーV2Xのシステム実用化に向けた検証を進める。

 

また視界が限られる交差点や信号機などから広域情報を取得することで渋滞や危険回避が可能かどうかなど、高度な自動運転を支援するサービスに関する検証も行う。その結果は、総務省が取り組む「5.9GHz帯へのV2Xシステム導入に係る技術的検討」の事業として、それぞれの項目における考察や評価などを取りまとめ、総務省へ提出する。

 

ドコモが行う実証実験概要は以下の通り

  (1)車線変更時や合流車線における車両と車両間の通信
  (2)事故や障害物、渋滞などの情報をインフラから周辺車両へ提供する、路側機と車両間の通信
  (3)自動運転車が急激な減速や緊急の車線変更を行った際に、後続車両へ緊急ハザードを伝える、車両間の通信
  (4)緊急車両の情報を、インフラを経由して車両へ提供する、路側機と車両間の通信
  (5)交差点周辺の車両情報などを、インフラを経由して歩道上の通行者や自転車などへ提供する、路側機間の通信

 

ドコモは「本環境の提供を通じ、自動運転社会の実現に向けたモビリティビジネスを展開するためのパートナーとの関係を深め、広げていくと共に、実証実験で得た知見やノウハウを生かし5.9GHz帯セルラーV2Xに対応した安全性の高いネットワーク構築や、より高度な自動運転を支援するサービス提供に向けて取り組んでまいります」と結んでいる。

 

1.実証実験場所
  千葉県柏市の柏の葉キャンパス駅周辺の公道エリアおよび、テストコース
  (住所:千葉県柏市正連寺内山周辺など135街区)

 

2.実証実験環境
  (2−1) 柏の葉キャンパス駅周辺における5.9GHz帯を使用したV2Xシステム一式
  ※V2V(Vehicle to Vehicle)、V2I(Vehicle to Infrastructure)、V2N(Vehicle to Network)。
  (2−2)135街区に敷設した面積約10,000m2のテストコース
  (2−3) 柏の葉キャンパス駅周辺の一般道およびテストコースにおける三次元地図データ
  (地図データ作成・提供元:アイサンテクノロジー株式会社)

 

3.参加予定企業と団体(2021年11月15日時点)

  コンチネンタル・オートモーティブ株式会社
  株式会社ヴァレオジャパン
  日本信号株式会社
  古河電気工業株式会社
  国立大学法人東海国立大学機構 名古屋大学
  国立大学法人 東京大学
  学校法人 同志社大学

 

4.実証環境提供期間(予定)
  2021年11月15日(月)~2022年2月28日(月)予定
  ※期間中、参加者を随時募集

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坂上 賢治

NEXT MOBILITY&MOTOR CARS編集長。日刊自動車新聞を振り出しに自動車産業全域での取材活動を開始。同社の出版局へ移籍して以降は、コンシューマー向け媒体(発行45万部)を筆頭に、日本国内初の自動車環境ビジネス媒体・アフターマーケット事業の専門誌など多様な読者を対象とした創刊誌を手掛けた。独立後は、ビジネス戦略学やマーケティング分野で教鞭を執りつつ、自動車専門誌や一般誌の他、Web媒体などを介したジャーナリスト活動が30年半ば。2015年より自動車情報媒体のMOTOR CARS編集長、2017年より自動車ビジネス誌×WebメディアのNEXT MOBILITY 編集長。

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1975年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として国会担当を皮切りに自動車販売・部品産業など幅広く取材。その後、長野支局長、編集局総合デスク、自動車ビジネス誌MOBI21編集長、出版局長を経て2010年論説委員。2011年から特別編集委員。自動車産業を取り巻く経済展望、環境政策、自動運転等の次世代自動車技術を取材。2016年独立し自動車産業政策を中心に取材・執筆活動中。

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1975年日刊自動車新聞社入社。部品産業をはじめ、自動車販売など幅広く取材。また自動車リサイクル法成立時の電炉業界から解体現場までをルポ。その後、同社の広告営業、新聞販売、印刷部門を担当、2006年に中部支社長、2009年執行役員編集局長に就き、2013年から特別編集委員として輸送分野を担当。2018年春から独立、NEXT MOBILITY誌の編集顧問。

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日刊自動車新聞社で取材活動のスタートを切る。同紙記者を皮切りに社長室支社統括部長を経て、全石連発行の機関紙ぜんせきの取材記者としても活躍。自動車流通から交通インフラ、エネルギー分野に至る幅広い領域で実績を残す。2017年以降は、佃モビリティ総研を拠点に蓄積した取材人脈を糧に執筆活動を展開中。

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(中島南事務所/東京都文京区)1963年・愛知県生まれ。新聞、週刊誌、総合月刊誌記者(月刊文藝春秋)を経て独立。規制改革や行政システムを視点とした社会問題を取材テーマとするジャーナリスト。

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1970年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として自動車全分野を網羅して担当。2000年出版局長として「Mobi21」誌を創刊。取締役、常務、専務主筆・編集局長、代表取締役社長を歴任。2014年に独立し、佃モビリティ総研を開設。自動車関連著書に「トヨタの野望、日産の決断」(ダイヤモンド社)など。執筆活動に加え講演活動も。

熊澤啓三

株式会社アーサメジャープロ エグゼクティブコンサルタント。PR/危機管理コミュニケーションコンサルタント、メディアトレーナー。自動車業界他の大手企業をクライアントに持つ。日産自動車、グローバルPR会社のフライシュマン・ヒラード・ジャパン、エデルマン・ジャパンを経て、2010年にアーサメジャープロを創業。東京大学理学部卒。

福田 俊之

1952年東京生まれ。産業専門紙記者、経済誌編集長を経て、99年に独立。自動車業界を中心に取材、執筆活動中。著書に「最強トヨタの自己改革」(角川書店)、共著に「トヨタ式仕事の教科書」(プレジデント社)、「スズキパワー現場のものづくり」(講談社ピーシー)など。