NTTドコモ(以下、ドコモ)は、「オートモティブワールド2019」(1月16日〜1月18日・東京ビッグサイト)内の「コネクティッド・カーEXPO」において、将来実用化が期待される第5世代移動通信方式(以下、5G)コネクティッドカー向けの「5Gガラスアンテナ」を展示した。
これは、ドコモとAGC、エリクソン・ジャパンの3社が2018年より共同で実証実験などを行っているもの。
車両のガラスに設置できる28GHz帯対応の5Gアンテナで、外観から見えにくく、車両のデザインを損なわない等のメリットがある。
開発はACGが担当、実証実験ではエリクソン・ジャパンが5G基地局装置・移動局装置の提供及び運用を担当している。
会場の同社ブースには、2018年6月〜7月に茨城県の国土技術政策総合研究所で行われた実証実験で使用した車両、ニッサンGT-Rを展示。
フロントとリアのウインドウ中央と、左右ウインドウ後部の計4ヶ所に装備されたアンテナは、外見からでは確かに見えにくく、車両の外観は純正そのままだ。
また、アンテナ自体のサイズが非常にコンパクトなため、設置場所の自由度も高い。
実証実験車両では、例えばフロントウインドウの場合、ルームミラー奥のガラス面に設置しているため、ドライバーは前方視界を妨げられることがない。後部ウインドウは上部中央に設置、左右のサイドウインドウへの設置位置も視界を遮る場所ではないため、全体的に視界は良好なままだ。
加えて、5Gで使う28GHz帯の周波数は電波の減衰が大きく、遠くまで届きづらいため、走行中の車両では通信が不安定になりやすいという課題がある。
これについても、この5Gガラスアンテナは対応。電波を特定方向へ集中させ届きにくい電波を届きやすくする「ビームフォーミング機能」や、複数アンテナから異なるデータを同時に伝送して通信速度を向上させる「MIMO機能」が利用でき、安定的な5G電波の送受信を可能とするのだ。
ブースには、さらに現在開発中のガラス一体型5Gアンテナの試作品も展示(写真右、左は従来型)。
これは、石英ガラス基板の上に銀の微細粒子を付着させることで、透明なままアンテナ化したもの。見た目ではガラスと区別がつかない5Gアンテナを実現している。
同社では、この5Gガラスアンテナを、量産車の純正部品としての採用を目指すほか、5G未対応車向けのアフター用品や鉄道車両の車載通信モジュールなど、様々なビジネス展開を検討中だ。