DICは6月30日、欧州化学メーカー最大手のドイツBASFが保有する顔料事業である「BASF Colors and Effects(以下、BCE)」に関する資産および株式の買収を完了したと発表した。なお、買収によるグループ連結業績への影響については、今後精査を行い、確定後速やかに開示するとしている。
DICとBASFは2019年8月、BASFが保有する顔料事業(BCE)の売買契約を締結(発表)し、以降、BCEに関する技術、特許などの知的財産及び株式買収に含まれない営業権などの資産および当該事業を構成する18社の株式取得に向け、関連する諸手続きを進めてきたが、この全ての手続きが6月30日を以て完了。両社間でクロージングに合意した。
DICは、2019年度から始動した中計経営計画「DIC111」において、「安全・安心」、「彩り」、「快適」の価値提供を通じて、”ユニークで社会から信頼されるグローバル企業”を目指し、「質的転換」による事業体質の強化=「Value Transformation」と、社会課題や社会変化に対応した新事業の創出=「New Pillar Creation」2つの基本戦略を推進。
今回、欧州を中心にグローバルに拠点を有し、高級顔料、エフェクト顔料(化粧品向け)および特殊無機顔料における世界有数の会社として、技術、製品、生産設備、サプライチェーン及び顧客サービスなどの事業ポートフォリオを保有するBCEをグループに加わえることで、ディスプレイ、化粧品、塗料、プラスチック、インキ、スペシャリティ用途などの製品群を更に拡充。
世界有数の顔料メーカーとしての地位を強化し、グローバルベースで、より幅広い製品とソリューションを顧客に提供する体制を構築することで、顔料事業の質的転換を加速するとしている。
[関係者コメント]
・猪野薫 氏(DIC株式会社 代表取締役 社長執行役員)
本日付でBCEの買収が完了し、グローバル市場における顔料のリーディングサプライヤーの1社として、お客様にご提供する製品を拡充できたことを大変喜ばしく思います。中期経営計画「DIC111」において掲げた2025年マイルストーン目標(売上高1兆円、営業利益1,000億円、純資産5,000億円)を早期に実現するうえで、今回のBCEの買収が戦略上、重要な事業ポートフォリオの補完になるものと考えています。
・秋山義成 氏(DIC株式会社 常務執行役員 カラー&ディスプレイ事業部門長)
BCEは、DIC顔料事業と地域的・製品的な補完性が高く、機能性顔料のより幅広い用途への展開・拡大により高成長・高付加価値化を目指す我々にとって、戦略的に理想的なパートナーと言えます。両社の技術力を融合し、顔料事業のリーディングカンパニーとして、今後も新しい価値を創出し市場に提供し続けていきます。
・Myron Petruch 氏(DIC株式会社 執行役員、Sun Chemical Corp. President and CEO)
我々は、付加価値と専門性が高い、BCEの優秀な従業員を当社の顔料事業の一員に迎え入れられることを嬉しく思います。本買収は、我々の欧州における顔料事業の強化に向けた大きな一歩となると同時に、グローバルの顔料市場において今後、効率よく競争するための源泉となります。新たな体制の下、お客様のニーズを的確に把握し、当社ならではのソリューションを提供し続けることをお約束します。
・Dr. Alexander Haunschild 氏(BCE Senior Vice President and Managing Director)
このほどのDICによるBCE買収は、同社の顔料ビジネスの変革と長期的な成長へのコミットメントと捉えています。BCEもDICグループの一員として、志を共にして成長と成功に向けた道程を歩んでいきます。
・Mehran Yazdani 氏(Sun Chemical Performance Pigments and Advanced Material部門 President)
本買収により、革新性、製品管理、規制遵守、顧客サポート、製造などの分野で業界をリードする立場の2社が合わさることになります。新たな体制の下、我々は顔料という事業領域で、お客様に対し、圧倒的に優れたサポートと継続的なイノベーションを提供してまいります。
■DIC:https://www.dic-global.com/ja/
■BASFジャパン:https://www.basf.com/jp/ja.html