ダイヤモンドエレクトリックホールディングスグループのダイヤモンド電機と田淵電機は11月25日、1.2kW/Lと世界最高クラス(2020年11月時点、同社調べ)の電力密度のV2X (Vehicle-to-X, XはL: Load, H: Home, G: Grid)対応の7.4kW車載充電器を開発したと発表した。
同製品により、電気自動車(EV、PHEV)の蓄電池を活用した系統の安定化や災害時の非常用電源機能やピークシフト、ピークカットが実現する。またV2G市場で先行するアメリカ市場で必要とされる製品規格UL9741にも準拠することで、電気自動車への搭載が容易になるという。
近年、温暖化対策として電気自動車や再生エネルギーが普及拡大するに伴い、電力系統の不安定化が懸念されている。そこで、電気自動車の蓄電池から系統に放電し系統安定化を図るV2G(Vehicle-to-Grid)が次世代技術として期待されている。同時に、電気自動車の蓄電池を災害時の非常用電源として活用する、V2H(Vehicle-to-Home、家全体をバックアップ)やV2L(Vehicle-to-Load、接続した負荷・家電のみ給電)も近年注目されており、V2G、V2H、V2Lを総称するV2Xでは、系統連系可能な車載充電器が重要となる。
これらを背景に、社は新たなビジョン「車と家をものづくりでつなぐ」を策定し、ダイヤモンド電機の車載電装設計・製造技術と田淵電機の系統連系技術を組み合わせ、単相三線式でありながらも高電力密度、高効率のV2X対応の車載充電器を世界に先駆けて開発した。
同製品を電気自動車に搭載することで、電気自動車の蓄電池から系統への放電が可能になり、停電時などの非常用電源やピークシフト、ピークカットの調整源として電気自動車の蓄電池を活用できるようになる。
電力変換部の特徴として、2017年より同社が研究開発を進めてきた小型絶縁双方向電力変換技術を7.4kWまでスケールアップし、車載充電器に適した仕様へと発展させた。さらに、窒化ガリウム(GaN)と炭化ケイ素(SiC)を組み合わせることで、最大電力変換効率96.3%かつ電力密度1.2kW/Lと世界最高クラスの性能、電力密度を達成したもの。