ジェイテクトは、1月24日、ネオジムとジスプロシウムという調達リスクやコストが高いレアアース中の重希土類を使用せず、独自の技術で製造工程を簡略化し、製品性能を向上させたIPMモータ(埋込磁石型モータ)を開発したことを発表した。
近年、EVやPHVなどのパワートレインから、パワーステアリングやオイルポンプ、ワイパーやパワーウインドウなど、自動車部品の多くに使われている電動モーター。
その種類には大きく分けて、ロータの表面に磁石を張り合わせた形状をもつSPMモータ(表面磁石型モータ)と、ロータの内部に磁石を埋め込んだ構造をもつIPMモータ(埋込磁石型モータ)がある。
中でも、焼結磁石を使用するSPMモータは、ボンド磁石を使用するIPMモータに比べ、高出力を出せ耐熱性にも優れるため、電動オイルポンプや駆動モータなどに使用されることが多い。
一方、IPMモータは、使用するボンド磁石の特性上、出力が高くなく、トルク変動が大きく耐熱性能の面にも課題があるため、ワイパーやパワーウィンドウなど、低負荷な環境で使用されることが多い。
ところが、SPMモータに使用するネオジムとジスプロシウムは、17種類あるレアアースの中でも世界的に希少で分布が偏在している重希土類だ。自動車部品だけでなく、様々な産業への活用が期待されている材料だが、現在これらは主に中国での生産が主となっており、安定調達とコストの面で課題がある。
対するIPMモーターに使うボンド磁石は、使う原料(後述)が安価で調達が容易な点がメリットだ。