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2024年9月9日【企業・経営】

デンソー、善明製作所にECU生産工場を新設へ

NEXT MOBILITY編集部

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デンソー・ロゴ

デンソーは9月9日、約690億円を投じて(工場建屋のみの金額)、愛知県西尾市にある善明(ぜんみょう)製作所の敷地を拡張し、新たな工場を建設すると発表した。新工場は、2025年度上期に着工し、2027年1月に竣工、2028年度上期から生産を開始する予定だと云う。

 

同社では現在、クルマで培った技術をコアに、〝環境〟と〝安心〟分野に於ける提供価値を拡大すると共に、〝自動車業界のTier1〟から〝モビリティ社会のTier1〟へと進化するために、「モビリティの進化」「新価値創造」「基盤技術の強化」という3つのチャレンジを推進。

 

その内、電動化製品や高度運転支援システム(ADAS)製品などを制御するECU(Electronic Control Unit)に組み込まれ、重要な役割を担っている「基盤技術の強化」の一つであるソフトウェアについては、今後、SDV(Software Defined Vehicle)や電動化などの進展により、一層重要性が増していくと考えていると云う。

 

そこで、新工場では、主に大規模統合ECUの生産を担当し、今後の市場拡大や顧客ニーズにタイムリーに対応可能な生産体制を構築。また、日本の労働力人口の減少や気候変動が激化する中でも魅力ある製品を安定的に供給し続けるため、同社の次世代工場のコンセプトを構想段階から織り込んだ初の工場として、デジタルインフラと自動化技術の導入により無人稼働を実現すると共に、太陽光パネルによる自家発電や水素などを活用。

 

工場で働く一人ひとりが人にしかできない創造性の高い仕事に従事する働き方を提案し、環境にやさしいカーボンニュートラルな工場を目指すと云う。

 

1.次世代工場の特長
(1)フレキシブル生産システム
・製品を構成する部品やそれらの材料を標準化。設備組み換えが容易な生産ラインと組み合わせ、1つのラインで多品種の生産を実現し、製品の種類や量の変動にスピーディーかつ柔軟に対応する。
・生産設備を構成する部品やユニットを標準化。さらに、加工プログラムにおいても標準化を進め、ソフトウェアの互換性も高めることで、設備の新設や組み換えといった生産準備にかかる時間を大幅に短縮する。

 

(2)24時間無人で稼働
・工場内に設置したカメラやセンサーで設備やモノの流れを常時監視。設備停止につながる予兆を検知した場合は、遠隔にて状況を判断し、設備の停止前に対応することで、生産ラインの24時間稼働を目指す。
・生産ラインだけでなく、材料や部品などの荷卸から工場内での搬送、材料の補給・投入、製品出荷のための梱包までを自動化することで無人化を目指す。

 

(3)デジタルを駆使した働き方へのシフト
・デジタルツイン技術で仮想空間に工場を再現し、設備製作前に設備の動作をシミュレーションすることで事前検証を行い、効率的でムダのない生産システム構築に貢献する。
・これまでのモノづくりを通じて蓄積してきた現場のノウハウを形式知化し、誰もが使えるようにデータベース化。そのデータベースを活用し、より高いレベルの自動化を推進することで、スピーディーに改善サイクルを回し、モノづくりの進化を促進する。

 

2.善明製作所および新工場の概要

<善明製作所>(2024年3月時点)

– 所在地:愛知県西尾市善明町一本松100
– 操業開始:1998年9月
– 従業員数:1,309人
– 事業内容:電子制御式ディーゼル・ガソリン燃料噴射装置の製造。
– 敷地面積:約320,000㎡(新工場は含まず)

<新工場>

– 竣工:2027年1月予定
– 生産品目:電動化およびADAS制御用ECUの製造。
– 敷地面積:約510,000㎡
– 工場面積:約56,000㎡

 

デンソーは、労働力人口の減少や環境への配慮といった社会課題の解決に新たなモノづくりを通じて取り組み、全ての人が安心と幸せを感じられるモビリティ社会の発展に貢献していくとしている。

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坂上 賢治

NEXT MOBILITY&MOTOR CARS編集長。日刊自動車新聞を振り出しに自動車産業全域での取材活動を開始。同社の出版局へ移籍して以降は、コンシューマー向け媒体(発行45万部)を筆頭に、日本国内初の自動車環境ビジネス媒体・アフターマーケット事業の専門誌など多様な読者を対象とした創刊誌を手掛けた。独立後は、ビジネス戦略学やマーケティング分野で教鞭を執りつつ、自動車専門誌や一般誌の他、Web媒体などを介したジャーナリスト活動が30年半ば。2015年より自動車情報媒体のMOTOR CARS編集長、2017年より自動車ビジネス誌×WebメディアのNEXT MOBILITY 編集長。

松下次男

1975年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として国会担当を皮切りに自動車販売・部品産業など幅広く取材。その後、長野支局長、編集局総合デスク、自動車ビジネス誌MOBI21編集長、出版局長を経て2010年論説委員。2011年から特別編集委員。自動車産業を取り巻く経済展望、環境政策、自動運転等の次世代自動車技術を取材。2016年独立し自動車産業政策を中心に取材・執筆活動中。

間宮 潔

1975年日刊自動車新聞社入社。部品産業をはじめ、自動車販売など幅広く取材。また自動車リサイクル法成立時の電炉業界から解体現場までをルポ。その後、同社の広告営業、新聞販売、印刷部門を担当、2006年に中部支社長、2009年執行役員編集局長に就き、2013年から特別編集委員として輸送分野を担当。2018年春から独立、NEXT MOBILITY誌の編集顧問。

片山 雅美

日刊自動車新聞社で取材活動のスタートを切る。同紙記者を皮切りに社長室支社統括部長を経て、全石連発行の機関紙ぜんせきの取材記者としても活躍。自動車流通から交通インフラ、エネルギー分野に至る幅広い領域で実績を残す。2017年以降は、佃モビリティ総研を拠点に蓄積した取材人脈を糧に執筆活動を展開中。

中島みなみ

(中島南事務所/東京都文京区)1963年・愛知県生まれ。新聞、週刊誌、総合月刊誌記者(月刊文藝春秋)を経て独立。規制改革や行政システムを視点とした社会問題を取材テーマとするジャーナリスト。

山田清志

経済誌「財界」で自動車、エネルギー、化学、紙パルプ産業の専任記者を皮切りに報道分野に進出。2000年からは産業界・官界・財界での豊富な人脈を基に経済ジャーナリストとして国内外の経済誌で執筆。近年はビジネス誌、オピニオン誌、経済団体誌、Web媒体等、多様な産業を股に掛けて活動中。

佃 義夫

1970年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として自動車全分野を網羅して担当。2000年出版局長として「Mobi21」誌を創刊。取締役、常務、専務主筆・編集局長、代表取締役社長を歴任。2014年に独立し、佃モビリティ総研を開設。自動車関連著書に「トヨタの野望、日産の決断」(ダイヤモンド社)など。執筆活動に加え講演活動も。

熊澤啓三

株式会社アーサメジャープロ エグゼクティブコンサルタント。PR/危機管理コミュニケーションコンサルタント、メディアトレーナー。自動車業界他の大手企業をクライアントに持つ。日産自動車、グローバルPR会社のフライシュマン・ヒラード・ジャパン、エデルマン・ジャパンを経て、2010年にアーサメジャープロを創業。東京大学理学部卒。

福田 俊之

1952年東京生まれ。産業専門紙記者、経済誌編集長を経て、99年に独立。自動車業界を中心に取材、執筆活動中。著書に「最強トヨタの自己改革」(角川書店)、共著に「トヨタ式仕事の教科書」(プレジデント社)、「スズキパワー現場のものづくり」(講談社ピーシー)など。