「ながら運転」をAI画像解析するサービス提供イメージ
デンソーテンとディジタルメディアプロフェッショナル(以下「DMP」)は2月24日、デンソーテンが提供する通信型ドライブレコーダーの映像とDMPのAI画像認識ソフトウエアサービス「ZIA™ Cloud SAFE」を活用し、走行中のドライバーの脇見・スマートフォン操作による片手運転などの「ながら運転」や「居眠り運転」行動をヒヤリハット映像として自動で抽出する技術を開発したと発表した。
車両に強い衝撃が加わるとドライブレコーダーの車室内カメラ映像がクラウドセンターへ自動送信され、顔の向きや目線などをAIが画像解析する。
AI解析精度を上げるためには、実際の事故に基づいた膨大な分析データが必要となる。デンソーテンは長年蓄積した実際の事故データを、対象物・シーン(交差点、カーブ、直線)・要因などに分類/タグ付けを行い、分析を進めてきた。その分析データを元に、クラウド側での画像認識能力や学習機能が大きく向上した「ZIA™ Cloud SAFE」によりAIを構築することで、事故につながる恐れのあるヒヤリハット映像の判別精度を高めている。さらに今回の技術開発では、車室内カメラに映るドライバーの動作(挙動)についても同様にAIを学習させることで、脇見・片手運転などの「ながら運転」や「居眠り運転」分析を実現した。
この技術は、現在デンソーテンが発売している法人向けの通信型ドライブレコーダー「G500Lite」に追加する予定。専用カメラではなく、既存カメラで映像を抽出可能なため、従来から「G500Lite」を利用している顧客も活用することができる。
ドライバーの安全運転教育に活用~事故発生抑止に貢献~
「G500Lite」は、走行中に検知したふらつきや車間距離、急ハンドルや急ブレーキなど事故につながる危険度の高いヒヤリハット映像を自動抽出し、クラウド上にドライバーごとのデータとして蓄積している。「G500Lite」のサービス利用者のデータ分析を実施したところ、前方不注意や漫然運転など「ながら運転」に関わる事故要因が非常に多いことがわかった。(※1:デンソーテン調べ)
従来からもデータを用いてドライバーの運転特性を解析し、安全運転教育を行ってきたが、この技術が加わることで、事後的に「ながら運転」映像を用いた客観的な安全運転教育を行うことが可能になり、ドライバーの安全意識を高め、過失による交通事故の抑制につながると考えている。(※2)
※2 参考文献:島崎 敢、片山 恵美子、中村 愛、高橋 明子、石田 敏郎 : 一時停止行動の事後判定と評価による停止率の改善, 自動車技術会論文集44巻(2013年)2号
ヒヤリハット映像の自動抽出技術で管理者の負担を軽減
営業車や社有車を保有している企業に、当技術を提供できれば、強い衝撃の原因が外的要因か、ドライバーの不注意による要因なのかをAIが自動的に判断するため、管理者の原因把握に掛かる工数削減につながる。
<両社の主な役割>
– デンソーテン
通信型ドライブレコーダーの提供およびデータに基づいたドライバーの行動分析、クラウド(デンソーテンセンター基盤)の提供、安全運転管理テレマティクスサービスの開発
– DMP
AIによる画像解析「ZIA™ Cloud SAFE」の提供