デンソーは、日立パワーデバイスと共同開発したオルタネーター(発電機)用高効率ダイオードを搭載したオルタネーターの生産を、2019年度発売の欧州車向けに開始し、順次、世界中の生産拠点で量産していく。
ダイオードは、電流を一定方向にのみ流す整流機能を持ち、発電された交流電力を直流に変換する機能を持つオルタネーターの構成部品。
今回、開発したダイオードは、その機能を高効率化し、交流から直流へ変換する際に生じる電力の損失を大幅に低減。オルタネーターの発電効率を約6%向上し、燃費の改善に寄与すると云う。
デンソーでは、オルタネーターを世界10カ国以上で年間2,500万台生産しており、全てを高効率ダイオードに切り替えた場合、二酸化炭素(CO2)を年間30トン削減できるとしている。
今回のダイオードの開発にあたっては、従来のオルタネーターの構造のまま搭載できるよう、内蔵するICの制御機能を簡素化し、小型化。また立体的に配置する高密度な実装(3次元実装)を行うことにより、整流機能の性能を向上させつつ、従来品との互換性を実現した。
電動化が進展する中でも、依然、オルタネーターを搭載する内燃機関の自動車が世界で現在8割以上を占めている。
デンソーは、電動化進展に資する技術開発のみならず、これら内燃機関の自動車の環境性能を高める製品を早期に投入し、普及させることで持続可能な社会を実現していくとしている。
[オルタネーター(Alternator)の機能]
オルタネーターは、エンジンの動力で発電を行い、自動車の全ての電装品に供給する重要なコンポーネント。各電装品に送られ消費されて余った電力はバッテリーに送られて蓄えられる。
オルタネーターは、滑車とベルトを介してエンジンのクランクシャフトと接続され、エンジンの回転力で発電するため、オルタネーターの発電効率を向上させることはエンジンの回転力の負荷低減につながり、車両の省燃費に貢献する。
[デンソーの電動化領域の技術開発]
デンソーでは、将来のモビリティ社会の実現に向けた注力分野として、電動化領域の技術開発に取り組み、モータージェネレーター(MG/*1)など、電動化車両のキーコンポーネントの製品開発、生産を行うとともに、インバーターのSiC(*2)素子の実用化など、高効率化や高密度実装化の技術開発にも取り組んでいる。
*1)モータージェネレーター(Motor Generator):始動や走行時の主動力として、加速時のエンジンアシストなどを行うとともに、ブレーキをかける際に生まれる回生エネルギーをバッテリー充電に活用する。
*2)SiC (Silicon Carbide 炭化珪素/シリコンと炭素の加工物):パワー半導体素子のSiCは、電力変換装置(インバーター)に利用され、家電製品、電気自動車、電力系統等で用いられている。SiCの活用により従来型のSi(シリコン)半導体と比較し電力損失が低減されることが期待されている。