デンソー及びジェコーは12月7日、同日開催のそれぞれの取締役会において、デンソーを株式交換完全親会社とし、ジェコーを株式交換完全子会社とする株式交換を行うことに関し、両社間で株式交換契約を締結することを決議し、株式交換契約を締結したことを発表した。
この株式交換の実施について、デンソーは、会社法第796条第2項の規定に基づく簡易株式交換の手続により、デンソーの株主総会の承認を受けずに、ジェコーは、2021年2月5日開催予定のジェコーの臨時株主総会において株式交換契約の承認を受けた上で、各国の競争当局の企業結合に関する届出許可等、関係当局の許認可等が得られることを前提に、2021年4月1日を効力発生日とし多実施を予定している。
また、株式交換の効力が発生した場合には、ジェコーはデンソーの完全子会社となり、以後、ジェコーの定時株主総会の基準日制度の必要性が失われるため、ジェコーは、12月7日に開催した取締役会において、当該臨時株主総会において株式交換が承認され、株式交換契約が解除されておらず、かつ、株式交換契約の効力を失わせる事由が生じていないことを条件として、2021年3月30日をもって、定時株主総会の基準日の定めを削除することを内容とする定款の一部変更を決議している。
なお、株式交換効力発生日に先立ち、ジェコーの普通株式(以下「ジェコー株式」)は、東京証券取引所市場第二部において、2021年3月30日付で上場廃止(最終売買日は 2021年3月29日)となる予定だ。
1.株式交換の目的
デンソーは、1949年12月に、トヨタ自動車工業から分離独立し、日本電装として設立され、2020年3月31日現在、デンソー及び子会社200社、関連会社88社(以
下「デンソーグループ」)により構成されている。デンソーグループは、自動車部品メーカーとして、主に自動車部品における「パワトレインシステム」、「エレクトリフィケーションシステム」、「センサ&セミコンダクタ」、「サーマルシステム」及び「モビリティエレクトロニクス」並びに自動車部品以外の「非車載事業」の6つのコア領域において、開発、製造及び販売を行っている。
一方、ジェコーは 1952年2月にラジオコントロール付真空時計の生産販売を目的として、日本真空時計として設立され、12月7日現在、ジェコー及び子会社2社(以下「ジェコーグループ」)により構成されている。ジェコーグループは、自動車時計、エアコンパネル、コンビネーションメータその他表示装置、電流センサ、安全運転支援部品その他センサ類及び駆動装置類など、自動車機器の製造・販売並びにこれらに付帯関連する業務を営んでいる。
デンソーは1978年にジェコーの株式を取得し、その後、2002年7月に筆頭株主がトヨタ自動車からデンソーに異動して以来、デンソーがジェコーの筆頭株主になっている。
ジェコーは12月7日現在、デンソーの持分法適用関連会社ではあるが、完全子会社でない状況下においては、デンソーグループからジェコーグループに対して開示される情報は限定的にならざるを得ず、デンソーグループが有する技術や情報をジェコーグループの製品開発に最大限活かすことが困難な状態にあるところ、株式交換により、ジェコーがデンソーの完全子会社となれば、デンソーグループからジェコーグループに対して開示される情報の範囲は格段に広がり、デンソーグループが保有する市場トレンド、長期開発戦略等の情報や技術、開発リソースについての情報開示を受けることが可能となり、将来の動向を踏まえた効率的な設備投資、重点投資を行うことで、製品競争力の強化に繋げることが可能になる。
さらに、ジェコー株式の非公開化に伴い、上場維持コストや株主対応コスト等の削減を図ることができるとともに、デンソーと他の少数株主との間における潜在的な利益相反関係の解消により、中長期的な企業価値向上に向けて迅速かつ抜本的な経営施策の遂行が可能になる。
加えて、完全子会社化の方法としては、株式交換の対価としてデンソーの普通株式(以下「デンソー株式」)がジェコーの少数株主の皆様に交付されることにより、デンソー株式の保有を通じて、株式交換に伴い期待されるシナジー効果による長期的な利益を享受する機会をジェコーの少数株主に対して提供できる一方で、流動性の高いデンソー株式を随時現金化することも可能であることから、株式交換によりジェコーをデンソーの完全子会社とすることは、ジェコーの少数株主にとっても有益な手法であると判断された。
これらの点を踏まえて、総合的に検討した結果、デンソー及びジェコーは、株式交換によりジェコーがデンソーの完全子会社となることが、デンソー及びジェコーそれぞれの企業価値の向上ひいては両社グループの企業価値の向上に資するものであり、デンソー及びジェコーの双方の株主にとっても有益なものであるとの認識で一致したことから、株式交換を実施することを決定した。
2.株式交換の要旨
■株式交換の日程
– 取締役会決議日(両社):2020年12月7日
– 株式交換契約締結日(両社):2020年12月7日
– 臨時株主総会基準日公告日(ジェコー):2020年12月7日
– 臨時株主総会基準日(ジェコー):2020年12月22日
– 臨時株主総会決議日(ジェコー) :2021年2月5日(予定)
– 最終売買日(ジェコー):2021年3月29日(予定)
– 上場廃止日(ジェコー):2021年3月30日(予定)
– 実施予定日(株式交換効力発生日):2021年4月1日(予定)
(注1)デンソーは、会社法第796条第2項の規定に基づく簡易株式交換の手続により株主総会の決議による株式交換契約の承認を受けずに株式交換を行う予定。
(注2)株式交換の日程は、株式交換の手続遂行上の必要性その他の事由により必要な場合は、両社で協議及び合意の上、変更されることがある。
(注3)株式交換効力発生日は、各国の競争当局の企業結合に関する届出許可等、関係当局の許認可等が得られることを前提にしている。